衝突

 叫び声をきいてたじろぐプラグ。神父はプラグにいった。

「今すぐこの場を離れろ、ここからは大人の問題だ」

「でも……」

 引き下がらずにいると、神父はさらに叫んだ。

「いいから!!君は、この先を知るべきじゃない!!どうせ……いい結末じゃないんだ」

 プラグはそこから立ち去った。頭の中が疑問でいっぱいだった。


 向き合うアイリーンとマルグリッド。アイリーンが叫ぶ。

「今までは見逃してもらっていたが、お前もここで終わりだ、お前にどんな目的があろうと……お前がもし善人であろうと、ヴァルシュヴァル卿とヌーヴァル帝は私の見方だ……私が……ここで命を失おうともなあ!!」

 叫びながら、鞭をふるう、右手の鞭がマルグリッドに近づくと、それをとびあがりよけそれをけりとばし、左手の鞭がさらに上をせめるのを、背中からとびあがり避けた。

「青の……夜鳥??」

 ふと、アイリーンはその言葉を聞きおぼえのある声できいて後ろを振り返る。その言葉の主の方を見る。

「プラグ……どうしてここに」

 そういわれてもプラグは呆然とたちつくす。

「にげ……」

 アイリーンがそうよびかけようとしたとき、アイリーンは後ろから首を羽交い絞めにされた、にやにやと笑う……マルグリッドに。プラグは、喉から声がでず、手を伸ばした。

「……あ……あ」

 やっとの思いで出た声は、意味をなさないものだった。マルグリッドはようやくその声の主に気づき、ふと、羽交い絞めにした手を放した。その刹那、ヴァルシュバル卿は何か……ナイフのような飛び道具をマルグリッドになげつけた。マルグリッドは後方によけたが、あまりのことに動揺し、腹部に傷を負って出血をしたようだった。

「プ……プラグ、違うのよプラグ、これは……」

 アイリーンは、プラグに呼びかける。

「プラグ……いいこと?これは“大人が処理”しなければいけないもの、私たちの都市ラグドを脅かす連続殺人犯、その正体は長く謎に包まれていた、けれど、その犯人それこそがこの、あなたのよく知るシスター・マルグリッドなの」

 プラグは、呆然としていた。だが次に、アイリーンが驚くような行動にでた。走っていき、マルグリッドの前にでた。

「そんなの、嘘だ、もしそうだとしても……俺はマルグリッドをかばう」

「!!!」

 グイン神父が驚く。

アイリーンが、頭に手を抱え、やがて笑いだした。

「一人……たった一人孤児がいなくなろうと……今までの犠牲に比べればなんてことはない、そうですよね?ヴァルシュバル卿」

 そういうと、ヴァルシュバル卿は、少しわらったようにみえ、答えた。

「ああ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る