孤児院決闘祭
その期間、町は派手な飾りつけで彩られていた。まちにまった決闘祭。花火やら、様々な催しがあり、孤児院も出し物をいくつかだした。その最終日、ついに孤児院の決闘祭がひらかれることになった。といってもそれはだしものではなく皆が帰った最終日にこっそり孤児たちが楽しむための物だった。
プラグは、乗り気ではなかった。当初の目的を達成できたこともあったし、自分が気にかけていたことがいかにも子供っぽい事に思えてきた。マルグリッドがなぜかここ最近姿を見せないし、クランはなぜかアイリーンとやけに親しくなっている。それでも、エリサの応援があったから、どうにかその大会に参加したという感じだった。
グドとペペロが戦い、白熱した戦いを繰り広げた。戦いもそうだったが今度はお互いをリスペクトしあった戦いだったために、なんのズルもせず、正々堂々と、それでもペペロが勝利したため、称賛されたのだった。
そしてプラグも、エドという少年に勝利した。気弱だが、わりと人気の高い3歳下の少年だった。戦ったあとも、プラグに握手をもとめたし、いくらか慕っている風だった。
そしてついに決勝が開かれた。プラグとペペロの一騎打ちだった。そこで、二人は向かい合った。司会のユーゲンスがこれまでと違う口上の一節をのべた。
「これまでとは違い、二人には、願いの宣誓をしてもらいます」
「!?」
「……?」
驚くペペロ、沈黙するプラグ。会場の視線は二人に注ぐ。困惑する二人にまた困惑する司会。しばしの沈黙、あまりにペペロがとまどい、司会の言葉に返事をしないので、仕方なくプラグはさきに願い事を宣言した。
「俺は……そうだな、1週間、シスター・マルグリッドを独り占めしよう」
別に大会と関わりがないから、かなわなく定位と思っていることをのべたが会場はもりあがった。そしてペペロ、なぜかプラグのほうをちらちらみたり、そっぽをむいたりして、そして花の天辺をかくといった。
「あたしは……プラグと、ちょっとお出かけを……」
沈黙する会場、冗談かと思って目を丸くするオーディエンスたち、やがてグドが茶々を入れた。
「それって、デートかーい?」
ふりかえり、ペペロが叫んだ。
「うっせー!!!」
頬を赤くし、ごまかした様子のペペロはなぜか、幸せそうに笑っていた。
プラグは、今まで犬猿の中ともいえたペペロの奇妙な申しでに困惑していたが、後ろにあらわれたエリサが彼の肩をたたいた。
「いいじゃん、君ならきっとかつでしょ」
そういわれて、ああ、っと得意げにわらった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます