悪ガキ

 食堂にて。

「おい!!子供っぽすぎやしないか」

「ああん?」

 プラグは、ペペロの肩を掴んで彼女がいましていたことをやめた。彼が食べていた棒状のたべものをグドはなにつっこんで、その上口に雑巾をつめている。

「あんだよ、あんたまた私にいじめられたいのか?」

「……」

「マルグリッドの、乳飲み子め!!」

 それでもプラグは彼女に何もいいかえさない。何かをきづいたようにその場を円をかいて一周すると、きっとプラグをにらみつけた。

「誰に頼まれた、誰に」

 プラグは口をひらかなかった。ペペロはふと踵を返して歩いていった、かにみえた。

「ガッ……」

 瞬間、プラグの頬をなぐりつけた、一発、二発、三発、ふいうちをくらったプラグは、姿勢を崩した。

 それでもプラグは、口を割らず、こういった。

「まったくいたくねえなあ、お前のパンチなど」

 顔を赤くしてその場を離れる。ペペロ。

「あいつ……自分だけ遠くをみてやがる、しゃくにさわるぜ、今度また痛い目をみせてやる」

 プラグはぼーっとそれを眺め、エリサの事をおもいだしていた。朝、中庭でこんな会話をしたのだった。

「なんか、最近皆むしゃくしゃして、隠し事が多いみたい、不満を抱えているっていうか」

「そうかなあ」

 プラグは、その時もぼーっと空をみていた。

「聞いてるの?真面目に」

「ああ、聞いてるよ」

「それでね、あなたにお願いがあるのよ、あなたの目標って、何だった?」

 話ながら、やさしく石ころをけとばすエリサ。

「俺は、人間同士が仲良くできればなーって、できれば平和に、そんな環境をつくりたい」

「グドとペペロの事、どう思う?」

「……」

 ふと、頼み事の内容をさとったように、その場をたちさろうとするプラグ。

「まって!」

 彼をひきとめ、その手をぎゅっと握って、エリサはいった。

「彼女……ペペロは最近おかしい、危ない事ばかりして、まるで〝昔のあなた〟みたい、まあいってもよくしらないんだけど、だから、あなたにしかたのめないの、確かにグドの事はもちろん心配だけど、ペペロがやりすぎないように、見ておいてほしい」

「……」

「ペペロのことしってるでしょ?少し前まで、あんなんじゃなかった、夜出歩いて割る人達とつるんでいるという話もある、このままでいいの?私たち、家族みたいなものだったじゃない……」

「家族……か」

 ぼーっと空をみて、ふと、踵を返してその場を立ち去るプラグ。ぽつり、言葉を残した。

「俺の家族は、とっくに死んでるよ」

 そんなプラグを、エリサは悲しい顔で見送った。 

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