創作

 どれだけ胸を痛めても、その理由なんて分からなくて。私はもう涙することさえ許されないようだ。妄想だけが私を追い越していく。現実から逃げれば逃げるほど、私の中で勝手に大きくなって、思い出は美化されていくばかりで。何も分からず、本当に痛いのかも分からず、ただこうしてもたもたと生きている中で時は進み、わけも分からず悪化していくだけの現実。死ぬ理由もなく、別段生きたいわけでもなく、ただ未来へはなぜだか期待しているようで、未知の可能性にかける度胸は私にはなかった。心に重い何かだけが残っている。取ろうにもどこに乗ってるのか、何が乗ってるのか、乗っているのかすら、私には分からぬ。神様どこかで見ているのなら。理由だけでも教えてくれてもいいじゃないか。祟りなら受けよう。この重さを感じなくて済むのなら。甘んじて受け入れよう。文字に綴れば何か変わるかと思っても、頭に浮かんだだけの文字は何の意味も持たない。売れなくていい? 楽しければそれでいい? 笑わせる。売れなくていいんじゃない。どうやったって売れないんだ。小さな画面に向かって誰かの言葉を組み替えて並べるだけで何が楽しい。どうか。作れなくていい。返してくれ。私の日常を。作れなかったあの日々を。創れない私でいい。だから。どうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る