ヒロインに転生したのに悪役令嬢の侍女やらされています!神様から授かったチート能力はド派手な衣装の魔法少女にならないと使えませんでした
第6話 エピローグ6 5歳の時の夢の魔法少女として異世界に転生させられました
第6話 エピローグ6 5歳の時の夢の魔法少女として異世界に転生させられました
「さて、ここからお前の適性を見る。それによって異世界でのお前の生まれてくる地位や立ち位置が決まる」
黒服は淡々と説明してくれたんだけど。私さっき、神様を叩いたし、それで仕返しされたらどうしよう?
私はとても不安になった。
「何を心配そうにしている」
「いえ、あの、その」
「さっきの叩いた件は忘れてやる」
「えっ、本当ですか!」
私はそれを信じられなかった。
「神に二言はない」
黒服は言ってくれるんだけど本当だろうか?
まあ、それを悩んでもどうなる問題でもない。
「あの私の行く世界はどんなゲームの世界なんですか?」
話題を変えることにした。
「それを話すことは出来ない」
えっ、どんな世界に行くかもわからないんだ。
まあ、ゲームなんてほとんどやったことないから聞いても判らないと思うけれど。
「あの、あんまり、ヒロインとか聖女とか目立つことはやりたくないんですけど」
思わず言ってしまった。そう、私は目立つことは好きではなくて、静かに本でも読んでいる方が良かった。
「ふんっ、そうなのか? 珍しいな。普通はヒロインとか聖女とか、最近は悪役令嬢が良いなんてもの好きもいるが」
黒服が言ってくれるが、私には悪役令嬢なんて絶対に無理だ。私が悪役令嬢なんてやった日にはヒロインとか聖女に顎で使われる未来しか見えなかった。
「まあ、良い。それを決めるのはお前ではない!」
黒服が指を鳴らすと私の目の前に小さな女の子が現れた。
「ここはどこ? あなたはだあれ?」
その黒目黒髪は日本人だから当然だが、くりくりした目をきょろきょろさせて周りを見る子供は見覚えがあった……というか、五歳くらいの私だ。
ええええ!
私の五歳くらいの時だ。
私は真っ赤になった。
このころは私はおしゃまだったのだ。
「ここは冥界と言っても判らんだろうな。俺はお前の行く新しい世界の神だ思ってもらえれば」
「ええええ? あなたが神様? 全然神様らしくないじゃない」
私の言葉に黒服は盛大にコケてくれた。
「お前は子供の時から生意気だったのだな」
「そんなこと言ったって」
黒服は私に向かって文句を言ってくれるんだけど、子供の時のことまで私に責任をなすりつけられても困る。でも、また、これでまたマイナス点が増えた。なんか、碌な立ち位置もらえないような気がする。
「まあ、良いだろう。その不敬な言葉は無視してやる」
黒服は態勢を立て直すと子供の私に向かってしゃがんで視線を合わせると聞いてくれた。
「お前は生まれ代われるとしたら何になりたい?」
おいおい、こんな子に聞くなよ!
私は青くなった。
子供のころになりたかったものって何だっけ?
何か碌なものではなかったような気がするんだけど……
「さきはね、さきさまになりたいの!」
「えっ? 自分になりたいのか?」
黒服はこいつは何を言っているんだと驚いて私を見た。
「何言っているのよ。あなた、馬鹿なの?」
小さい方の私が黒服を見て呆れて言った。
ええええ! やめて! これ以上黒服を刺激するのは。
恨みを込めて魔物なんかに転成させられたらどうするのよ!
「こいつといい、あの女といい本当に生意気だ」
何か黒服がぶつぶつ呟いている。
「良い? さきは、魔法少女沙季様になりたいのよ」
小さい私は両手を腰に当てて威張って答えていた。
魔法少女沙季様、それは、私の小さい頃に流行ったアニメで、主人公が自分の名前と一緒だったから喜んで見ていた記憶があった。
魔法少女になりたいなんて!
私は茫然とした。
「沙季様は正義の味方なのよ!」
何か小さい私がポーズを決めている。
「ああ、そんなアニメもあったな」
黒服はそう言うと遠くを見た。
「異世界転生の世界に魔法少女なんて出てくるわけないだろう!」
黒服は私を見て言ったが、
「いや、待てよ」
次の瞬間一人で考え出した。
「これはこれで新しい世界が生まれるかもしれない。周りにある異世界よりも評価されれば俺の出世も間違いないぞ。……これは行けるかもしれない」
黒服は一人でぶつぶつ言っているんだけど、ちょっと待って。
どこの異世界に魔法少女が出てくるのよ!
まあ、衣装は西洋風と言えなくはないかもしれないけれど、ドラゴン相手に魔法少女が戦うって絶対に変だ!
いや、そうか、あのアニメの後も、嫌ほど魔法少女シリーズが続いていたから、そんな話がありそうでもあったが……
でも、ちょっと、待って!
その魔法少女になるのは私じゃない!
30超えて何の因果で魔法少女なんてならないといけないのよ!
絶対に嫌だ!
私が青くなった時だ。
「決まった。お前には三分間無敵の特殊技能を授けよう」
黒服は決心したように私を見て宣言してくれたんだけど。
「えっ?」
私は魔法少女にすると言われなくてホッとした。
そう、この時はそう思ったのだ。
魔法少女に変身しないと3分間無敵になれないなんて思いもしなかったのだ。
「では新しい世界で頑張ってくれ。呪文はこの子が考えてくれたから」
黒服が五歳の私を指して言うんだけど、ちょっと待て! それって禄でもないものでは……
私が叫ぼうとした時には私は真っ暗な渦の中に弾き飛ばされていたのだ。
「ちなみに、お前はヒロインにしたから」
最後に黒服の言葉が私の頭に響いた。
ちょっと最後になんてこと言うのよ。私は目立つのは嫌だって言ったのに!
黒服は最後に頬を叩いた仕返ししてくれたのだった。
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ここまで読んで頂いて有難うございました。
叩かれた恨み、黒服に晴らされます。
ヒロインになったパティはどうなるのか?
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