第7話 高飛車な村長の娘がいきなりやって来て家から出て行けと言いました

前世の記憶が怒涛のごとく甦ったり、高位貴族の男の子を生まれて初めて回復魔法で治したりで、疲れ切った私はその日から3日間、高熱を発して寝込んでしまった。


そして、気付いたら、いつの間にかおばあちゃんの家の私の部屋のベッドの上にいたのだ。服もあのけばけばしい衣装ではなくて寝巻きに戻っていた。


聞くところによると、ぴーちゃんがおばあちゃんを呼びに行ってくれたらしい。

必死に服の端を噛んで引っ張るぴーちゃんの熱意に負けて行ってみたら、私が倒れていたので、おばあちゃんは慌てたらしい。私をおぶってなんとか家まで連れて帰ってくれたのだとか。


えっ、ぴーちゃんって、生まれたばかりなのに、もうそんな事ができるの?

私には信じられなかった。


まあ、私は全く意識がなかったけれど。


結局、黒服を叩いた仕返しで、魔法少女にならされてしまった……


私はヒロインだそうだけど、この世界ってどんなゲームなんだろう? ヒロインって虐げられて我慢に我慢を重ねて、最後はハッピーエンドになるそうだけど、そこまで我慢できなかったらどうしよう?

あの黒服の事だから禄でもない設定にしているんだと思うんだけど……


3日後に目を覚ました私は、心配性になったおばあちゃんによって、それからしばらくは家から出してもらえなかった。


私は目の前で倒れていた高位貴族の子供のことが気になったが、噂によると服が血まみれになった貴族の息子らしい男の子が、村長の家の前に忽然と倒れていたそうだ。


村長の一家は大慌てて看病するやら、付近に問い合わせの使者を出すやら、大変だったらしい。男の子は三日後には元気になって、慌てて飛んできた王都から迎えの者達に連れられて帰ったらしい。


「ピンク色の服を着た女に助けられた」と子供は言っていたらしいが、村長の所の娘のがピンク色の服を着ていて、看病したと証言したそうだ。

村長の働きに対して、その貴族の家から莫大な謝礼が支払われたらしい。


そんなお金をもらえるならば、私が助けたと言えば良かったと少し後悔したのは内緒だ。

だって、3分間だけ無敵になるなんて知られたら何をやらされるか分かったものではないし。

それを理由に最終兵器とかなんとか言われて軍にでも徴兵されたらたまったものではなかった。



そして、それから五年が経った。


それからは高位貴族の子どもが現れることもなく、平穏な生活が続いた。


でも、怖れていた、虐めも思っていたほどあまりなかったし、私は拍子抜けした。


私はピーちゃんと一緒に平和におばあちゃんと暮らしたのだ。


何故かピーちゃんは全然大きくならなくて、いつまでも可愛いピーちゃんのままだった。でも、こいつむちゃくちゃ大食漢で、私よりもよく食べるのだ。


「ぴーぴー」

と鳴いて食べ物をねだるさまは可愛いのだが、誰彼構わずに食べ物をねだるのは止めてほしかった。


何かあったら困ると、私はそれから何回か、山の中で魔法少女になって、いろいろやってみたが、ある程度の魔法は使えるみたいだった。一度山に向けて、爆裂魔術を放ったら、山が一つ完全になくなってしまって茫然としてしまった。それからは怖くなってあまり魔法少女には変身しなくなったのだ。怖れていた事件やいじめは起きなかったし。このまま平穏無事に静かに田舎で過ごせたらいうことはなかった。



そんな時だ。私を育ててくれていたおばあちゃんが、突然亡くなったのだ。

最近は寝込む事が多かったから、心配していたけれど、朝起きたら冷たくなっていたのだ。


私は驚き慌てた。

慌てて魔法少女になっておばあちゃんを生き返らせようとしたけれど、

「パティや、おばあちゃんはあなたを残していくのが心残りだけれど、やっとおじいちゃんの所に行けると思うと少しうれしいよ」

そう、おばあちゃんが言っていたことを思い出したのだ。


人の生き死にはあまり手を出してはいけませんよ、と黒服に言われていたことも思い出したし。結局、私は何もしなかった。



おばあちゃんの埋葬も終わって少し落ち着いた時だ。


いきなり村長の所のお嬢様のエイダが男どもを連れてうちに乗り込んできたのは。


「パティ、今すぐこの家を出て行きなさい」

なんと、入ってくるなり、いきなりお嬢様は私を家から追い出そうとしだしたのだ。


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果たししてパティは家から追い出されるのか?

続きは……


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