ひとりぼっちの王子様

ゆきさと

第1話

 この世界に生まれ落ちて自我が芽生えた時、すでに僕は隔離というものをされていた。

 王宮から離れた郊外に僕だけのお屋敷があって、そこで僕はひとりぼっち。子どもの身の上で、しかも一国の王の一人息子でありながら。


 大人たちの説明によると、僕は病気らしい。しかも酷く感染力が強いもののようだ。だから仕方なく、そういう事になっている。


 だけど、さみしくはなかった。いや、全然さみしくなかったといえば嘘になるかもしれない。

 でも、毎日お手伝いさんが来て身の回りの世話をしてくれる。王様の父と王妃の母が忙しい立場の合間をぬって頻繁に会いに来てくれる。国民の皆がお菓子やおもちゃなどたくさんの贈り物をくれる。


「王子様、食欲はありますか?スープでも作りましょうか」

「やあ、王子。気分はどうだ」

「王子様、めずらしいお菓子を手に入れましたのでお持ちしました」


 完璧な防護服を着ながらも皆、いつもとても優しかった。いじけそうになる幼い僕の心を、その前にきちんと立て直してくれる。

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