第11話 城門と兵士

副主任の話を聞いた後、部屋を出た隊長は僕らに資料の内の2つを見せる。

「これを見てみろ」

「えっと…何かな?」

僕はのぞき込み、ハンスもマジマジと眺めながら言う。

「どれどれ…研究日誌と外出、遠征、護衛の申請記録…?」

隊長が日誌をめくりながら説明する。

「日誌に研究は何も書かれていない日がたびたび出てくる」

それを聞きながらローナは質問する。

「何してたのかしら?」

「博士は自分で素材取集までしていると副主任が言っていただろう。恐らく研究所から離れている日だ」

ハンスは2つ目の外出記録と見比べながら言う。

「でも外出申請記録とは少し食い違いますね」

僕は「内緒で出てたって事かな」と聞いてみる。

「秘密主義と聞いている。ありうる事だ」

ハンスはさっそく「城門へ行って確認した方がいいな」と僕らを促した。


門の兵士は僕らの問いに答えてくれる。

「ええ、最近は入る方は厳しくチェックします、ただ出る方はあまりチェックしない時があります」

「そうなんですか?」と問いかける僕に兵士は続ける。

「町や城への物資の搬入が忙しい時、不審者や不審物の確認に時間が掛かりますので…王都へ入る方は入念なチェックをしますが、出る方は…」

その言葉にローナが質問する。

「例えば王都の研究員である博士が出て行っても…」

「気にはしないかもしれないですね」

兵士はそう答えた。


ハンスは言う。

「博士はこっそり外出して遭難したか、魔族に襲われたか…」

僕も「何かに巻き込まれたのかもしれないね」と同意する。

隊長は次の行動を決めたようで僕らに告げる。

「今日はもう遅い、明日博士の足取りを追うぞ。精霊や魔族に関する研究が絡んでいるなら行きそうな場所は火山地帯だ」

こうして1日目の調査を終え、僕らは王様があてがってくれたお城の一室に泊まる事になった。

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