第7話 蛇の足
この数十年間津波に襲われていない平和な砂浜のビーチパラソルの下で、カールは口を開く。
「私がまだ皇帝だったらなあ……」
民主化の波に押されて共和国となったアルカムエに、ワンマンな彼女は必要なかった。
それなりに客はいるが、パラソルの下の露出の高い水着を着ている美人に声をかけるものは一人を除いていなかった。
「カールさんじゃないですか」
ザッツだった。
「おや、宇宙海軍の仕事はいいのかい?」
「やめさせられました。整備兵を投げたので妥当ですよ」
「まったく。私に手を振ってくれてたころが懐かしいくらいだ」
「今のあなたは牙の抜けた獣ですね。僕も昔のあなたが懐かしい」
ザッツにはカールが燃え尽きているように見えていた。
「……僕に外惑星探査の話が来ています。志願もできるみたいですよ」
「やれと?」
「いいえ。お好きにしてください」
地の底から、宙へ (Ⅳ) @Hk-4
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます