124 アイテムボックスに拘って…その124

 甲司こうじが魔導車のタクシーでタナミナ兄妹に出迎えられ……帰宅した。某少尉さんは甲司に見張りを付けろと部下に命令し、甲司への監視の目が確実に付くこととなる……

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──平和な日常は……再びやってくるが、さて……──


 翌日。


「安静にしてた方がいいんじゃないの?」


 母親が今日から学校に行くといい出す息子に心配の目を向ける……


「いやだって……聞いたら謹慎明けてるって聞くし……余り休んでると留年しそうだから!」


 ……とはいえ、10日程しか休んでいないが。甲司の頭ならノートを借りて写し、わからない部分は他生徒に訊けばすぐ理解するだろうし、憶えることだろう!


「はいはいわかったわ……無理だけはするんじゃないのよ……いい?」


 念を押す母親に、甲司は


「あ、うん。わかった……無理はしないよ」


 と、観念したかのように返すのであった!



「……俺らで見張っとくか?」


「うん……お母さま。どうします?」


 タナミナ兄妹が心配する母親を見てそう切り出すと、


「そう……ね。忙しくないならお願いしてもいいかしら?」


 彼、彼女の能力が並みの小学生を凌駕……否、並みの大人すらも凌駕している。唯、残念なことに兄のタナはおつむは小学生並なのだが、妹のミナは既に高校生並の精神を持ち合わせていた。簡単にいえばタナより大人な考えを持ち合わせているのである!(笑)


「わかりました。甲司兄ちゃんは私が必ず護ります!」


「お、俺も兄ちゃんを悪の手から守るぜ!」


 ……という訳で、タナミナ兄妹はお弁当を持たされ、陰から甲司を護るために……母親の依頼(期待?)を受け、甲司の通う東区第5小区中学校に走るのだった……


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タナ「そういえば中学校って初めてだな!」

ミナ「そうね。まぁ……小学校を無理矢理中退させられたから行けるなんて思ってなかったけど……」

タナ「……ごめん。俺、兄ちゃんなのにはしゃいじゃって、さ……」

ミナ「いいの。通えなくたって見れるだけでも……」

タナ「……俺たちの稼ぎってどんなもんなんだろうな……」

ミナ「んーーと……まぁ、中退した小学校に復学するくらいは貯まってるんじゃないかな?」

タナ「ミナ……」

ミナ「うん?」

タナ「小学校……通いたいか?」

ミナ「うーーん……別に必要性は感じないかな?」

タナ「え?……なんで?」

ミナ「だって、甲司兄ちゃんや岬子姉ちゃんのお古の教科書で十分勉強できるし?」

タナ「え……ひょっとして、ミナ……」

ミナ「うん。夜、独りで勉強してる。わかんない所は、岬子姉ちゃんやお母さんに訊いたり」

タナ「そ、そうか……(道理で独りだけ大人びて来たと思ったら……ぐぁぁっ!……このままでは兄の威厳がぁっ!?)」

※元々ありませぬ(笑)

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