91 アイテムボックスに拘って…その91

 襲撃の主原因が判明。運び込まれた準銀……ではなく、生産された準ミスリル、或いは似非ミスリルを強奪する目的だったと……

甲司「まぁ……似非ミスリル製の箱か袋しか出荷してないけど」

糧飯「そっちのが価値が高いけどね?」

 それはそうだろう……アイテムボックスが付与された小箱や袋の方が、価値が高い。似非ミスリルが素材だとすれば、インゴットの状態で1kgのインゴットでは1千万円(税抜)の価値があるが、宝石箱形態の似非ミスリルのアイテムボックスは……平均5億。ズボンのポケットに隠れる大きさで最大級の付与を行えば重量軽減-99%、内容量拡張500倍程と成るのだ(100mlの容量→50L、50kg→500g)

 尚、荷駄輸送目的の背嚢型だと更に重量軽減能力が上昇し……例えば60リッターの内容量を持つリュックサック型アイテムボックスの場合は平均値で内容量拡張30倍の重量軽減-99.5%となるが、1,800リッターに9kgとなる。背負い型は一旦背中から下ろして使用する必要があるし、出し入れる時も口より大きいモノは収納・取り出しできないがその分、安価となっている……価格は1億8千万円だ。中堅所の冒険・探索者たちなら、少し頑張れば何とか手が出せると好評を得ているとのこと……尚、小袋型(ベルトに紐を結んでぶら下げるタイプ)は革製で口よりやや大きい物も出し入れできるけど、内容量拡張は大したことが無い割りにコストが高いので最近は人気が落ちているっていう……

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──対策を考えないと……どうやって?──


 という訳で、襲撃犯たちは未だ不明。できることといえば、学校周辺のパトロールを強化するくらいだけど……元々冒険者や探索者に対して無力な警察がパトロールしてても、怪しいとわかっていても強引に襲撃してくる可能性は否めない……かといって冒険者や探索者の高ランクの人に警戒を依頼するのも掛かる費用を考えるとコスパが悪い。低ランクだと警察官と同じで余り意味が無いし、居ても居なくても変わりないなら同様にコスパが悪いのだ……


「うーーん……仕方ないですねぇ……」


 暫くあれこれ考えていたけど、学校のシステムにリンク許可が前提になるけど……と前置きして、甲司はとある構想を糧飯かてい先生に話す。それは……



「「「ギャアアアアッ!?」」」


ばたりっ……


ぴしゅんっ!


 そんな絶叫と倒れる音。そして何かが巻き付く音の後……学校は静かになった。おっとり刀で駆け付けた学校の宿直の先生が目撃したそれは……


 そして翌朝……


「こいつらが襲撃犯なのかね?」


「恐らくは……昨夜は例の部屋には誰も居ませんでして、それを狙った物盗りなのかも知れませんが……」


 ミスリルという名の貴重品が置いてあると聞けば、物取りに入る泥棒が湧くのは必然だろう。何より今のご時世では防犯といえばせいぜい鍵を付けたドアや金庫くらいしかない。電気で動く防犯設備など存在しないのだ……例え壊れないで現存していても、それらをずっと稼働させる電源装置も無いのだ。ましてや魔力変換してもそれ程長時間は稼働しないし……


「……と、その辺りを熟知した者の犯行だろうな。昨夜侵入した時間と捕縛した時間、君の名前を添えて書類を提出したまえ。警察に提出する資料になるからな」


「はっ……それについては既に用意してあります」


 校長は受け取った書類を受け取って読み、念の為に複製してあるか訊き、あると聞いたので保存しておくように伝えると他の先生たちを呼んで警察に連絡をするのだった……(電話は無いので魔力で稼働するトランシーバ型の通信器を用いて連絡した)



「……結局、何処どこで情報を買ったコソ泥の犯行だった……という訳か」


「えぇ……問題は何処でその情報を買ったか……だが」


 それについては捕縛した賊にこれから調書を取る……と聞いた訳だが。


「……死ななきゃいいな、その賊」


「そうですね……近頃は警察の連中も荒っぽいって聞きますし」


 侵入しようとして感電してグルグル巻きにされてから警察署に直行して気付いたら警官に囲まれてる様を想像し、


「「あぁ嫌だ嫌だ」」


 ……と、プルプルする校長と教頭だった(苦笑)


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 その頃、甲司は……

甲司「侵入防止トラップが無事に稼働したんだ。良かったぁーー」

 ……と、暢気に魔導具が無事に動いたことを喜んでいたそうな(苦笑)

※学校の働いている教員などの個人情報と学生の個人情報をシステムから提供して貰い、個人情報の中から魔力紋と顔を含む画像と照合して、夜間に侵入して来た部外者の場合は問答無用で死なない程度の電撃を放ってから土ロープで捕縛する防犯システムの魔導具を即興で創って各出入口や等間隔に大きめの窓付近に設置した訳DEATH(笑)←ドアのある場所だけ判別装置を付け、窓など普通出入りしない場所は問答無用で発動するように調整した

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