89 アイテムボックスに拘って…その89
裏の組織に所属する4人が会合し、ターゲットの説明を受ける。そして数週間が過ぎ……やや不定期ではあるが純銀が輸送され、その後は所属不明の魔導車(その都度、車種が変わる)が
裏組織B「いよいよ決行か?」
裏組織C「さあな……どうなんだ?」
裏組織D「いい加減痺れを切らしそうだ……」
裏組織A「そう……ですね。安定して運び込まれ、出荷をしているようです」
全員頷き、綿密な決行日を決め……無論、出し抜かないと誓約してから決行日を待つのだった……
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──準銀が運び込まれた日──
準銀とは、似非ミスリルを生成するのに必要最低限の純度の銀だ。その純度は凡そ60%を少し超えた程度。銀細工などで使用される素材は92.5%の物が多いので、それよりも銀含有率は大幅に少ないようだ。
準銀に含まれる素材は主に酸化鉄だ。依って、純銀と違って赤味を増した銀という色合いで余り美しくはない。酸化鉄といっても自然に錆びた鉄ではなく、魔力加工を施した鉄でそれ以上は錆びない性質を持つ。更に銀を魔力加工で合金としており、準銀というのは通称で正式名称は「抗酸化銀鉄」という。似非ミスリルは偶然、素材としてみたら生成できた……という訳だ。準ミスリルより低性能だが生産コストは性能以上に低コストの為、量産されているという……
尚、準ミスリルは準ミスリル片100gで1億円もするが、生産コストも半値の5千万円も掛かる。尤も、1本1kgのインゴットで生産した方がコストは安く済むので生産コストはもう少し安いのだろう。それに比べ、似非ミスリルは1kgのインゴットで1千万円と準ミスリルに比べると1/10とリーズナブルだ。素材の費用も更に安い……何と、脅威の百万円だ。尤も、加工費などは別途掛かるが大量生産すればペイできるだろう。
ミスリル系の生産に尤も掛かるのは……魔力浸透装置と消費する魔石そのものだ。研究はされているが、魔力浸透の高効率化が難しく、魔石から素材への伝導率が低過ぎて……要は大量の魔石が湯水のように注ぎ込まれるせいで高コストとなっている。また、魔力が浸透するのに時間が掛かり過ぎるというのもある……何処ぞの「2日で純ミスリルができちゃった!」……みたいなのは、本来有り得ないのだ(苦笑)
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「荷物が届いたようだね」
外から荷物専用のアイテムボックスにお届けされた合図が作業室に届く。今日は本格的に、似非ミスリルで使用されている素材を送って貰ったのだ。荷物は素材の「抗酸化銀鉄」10kg入りの箱が3つだ。要は2kgのインゴットが5本入った箱が3つということだ。
※魔力浸透加工すると体積が若干、重量が半分程に減るので倍の重さの素材金属のインゴットを用意するがスタンダードとされている(大きさは倍ではなく、やや大きめな程度。ミスリルは軽金属なので、大きさに比べて軽い性質を持っている)
「さてっと……(ずがぁーーんっ!)って、え? え? なになに!?」
荷物受け取りのアイテムボックスから箱を取り出す段階で、外から振動を伴う大きな音が響く……
「てっ、敵襲ぅっ!?」
……と、思わず叫んだけど敵って何よ!……っていう、突っ込みの合いの手は入らなかった……ザンネンッ!(笑)
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暫く、大きな振動と壁を大型携行武器(バトルハンマーみたいな?)でぶん殴る音が響いていたが、諦めたのか警察か学校の警備が気付いて集まって来たから逃げたのか……20分もしたら静かになったよ!
甲司「一体何だったんだ……?」
結果、まだ残ってた先生から呼び出し食らって……室内に居たから事情なんて知らないのに、事情説明をする羽目に……。家庭科室の作業部屋入り口付近の壁とか出入口のドアは表面材が粉砕されてるけど内側は傷も無くてどうなってんだっ!?……とか、襲われる理由とか原因について何か知らないのか?……とか、秘匿するべき情報が多くて余りいえないんだけど……
※表でか裏でかは不明(苦笑)
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