88 アイテムボックスに拘って…その88
準と似非のミスリルの少量量産体制が整い、これでアイテムボックスのスキル鍛錬体勢も整った。別に箱に付与するだけではなく、糸状のミスリルで編んだ布……そしてミスリル布で作った袋でも構わないのだ。
唯……純銀は金よりも安価ではあるが貴金属には変わらない。結果、必要数の貴金属を輸送する際にはそれを狙う裏の組織も動き出す訳で……ヤレヤレ。
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──裏の組織──
とある場所。公にはされてない場所。そんな場所で顔が割れてない人間が集まっていた……いや、怪我をしていないという訳ではなく、単に普通の一般人として生活しているが裏の顔としてバレてない……というだけだが。
「これで全員か?」
「……あぁ」
「何の集まりだ?」
「美味い獲物を見つけた……ってことだよな?」
「……そうだ。これを見てくれ」
集まったのは3人。とはいえ、彼らの下にも大勢の仲間や部下が居る……それぞれのトップだけの会談という訳だ。そして、室内が若干暗くなり……やや黒ずんだ壁にプロジェクターのように画が映し出される。無論、電気が無い世界に電気製品は稼働しないが、魔力変換された電気なら存在する……
「輸送車だな……」
「これは……あぁ、運輸ギルドの魔導車か」
「これが何か?……ひょっとして、金目の物が運ばれてるってことか?」
何をいうまでもなく、説明しようとしていた内容が推測だけで当てられていく。説明する手間が省けたと満足した召喚したとある人物は、
「その通りだ……今映っている車には大した物は入ってないようだが……」
ここで一息吐き、続けて説明する。
「次の輸送物は……純銀が運び込まれるということだ」
一瞬だけざわっ……となる室内。
「……輸送される量は?」
ぱちぱちぱち……と軽い拍手が数秒。そして口を開く召喚者。
「矢張り、そこが気になりますよね? 恐らくは試用だと思われますが……初回は1トンという話しです」
次の男が口を開く。
「初回……純銀……そうか、似非か準だな?」
「エムの量産工場か?……何処だ」
準、似非……そしてエム。つまり、準ミスリルか似非ミスリルの生産工場と当たりを付けて質問しているという訳だ。
「まぁまぁまぁ……先ずは様子を見ようと思いまして。慌てて輸送車を襲えば……拠点を移されてしまい兼ねません。暫く泳がせ、安心して量産体制に入った頃を見計らって……いいですか?」
3人は渋々とだが……ゆっくりとほぼ同時に頷く。
何故、渋々とだが同意を得られるのか?……それは。
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ミスリル生産工場は国管轄の為、至極厳重な管理が行われている。民間工場ですら、国の優秀な元自衛隊の国立魔法師団の派遣している魔法師、或いは魔剣士による警戒態勢の中、稼働している。依って、生産の為の魔導機械は門外不出の品の為に一般には公開されてないという……今回の裏の組織は、その生産機械? を狙っているものとみられる。
※国管轄のミスリル生産工場は準ミスリルを、民間の生産工場は似非ミスリルと棲み分けがされている
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