86 アイテムボックスに拘って…その86

 純ミスリルを創ってしまった匣岬 甲司はこざき こうじ……世間は純の方で大騒ぎとなったことを知る。だが……騒がすつもりで創った訳ではないし、試しに創ってみたらできてしまった……という訳で、甲司は封印を決定せざるを得なかったのでした……マル

━━━━━━━━━━━━━━━


──準ミスリルはお手軽に創れるのか?──


 あれから何やかやあり、準ミスリルの作成は遅れている……いや、学校の専用部屋が造られて、その手続きが面倒だったのだ……結果、家のコンテナハウス以外にも安全に作業できるスペースができたことは喜ばしいけど、セキュリティ的にはどうだろうか?……というのもある。甲司が居る間は兎も角、学校に居ない間は……結局、第3者が侵入する危険はある訳で、大事な物は置いておけないという訳で……



「……あ、そうだ」


 ふと思いつく。


「設置型のアイテムボックスを使えばいいんじゃ!?」


 但し、その場合は構造材が結構必要とされる訳だが……糧飯かてい先生に相談したら、先生のお父さんまで話しが行ったらしく……また工事が始まるのだった(苦笑)



「突貫工事で1泊2日かぁ……ヨウヤルワ」


 正確には、前の日の夕方に資材の搬入を始め、夜間に工事を敢行……朝方には終わったらしい。見た目には専用部屋の作業スペースが三分の二くらいに目減りして、三分の一が倉庫に改築……といった感じでスペーサーと出入口の割と頑丈そうな扉が追加されたってくらい?……あぁ、専用部屋のドアも、前の汎用的な如何にもその辺の工務店で注文した合板のドアから金属製の頑丈そうなドアに変わってたっけ……


※合板といっても木材は遠方から取り寄せになる程高額なので、見た目が合板に見える合成素材らしい(それでも高いことには変わりないけど……)ちなみに、その偽合板のドアの表面に3mmの金属装甲を追加させた模様……流石に1から全金属製だと、中学生程度の筋力だと重過ぎて開け閉めに困るだろうって……いや、それでも普通に重いんですがっ!(仕方ないので、後で「重量軽減」を付与しました……orz)



「ええーーっと?……これに設置型のアイテムボックスを付与……か」


「そうね……じゃあ職員室に居るから、何かあったら呼んでね?」


 糧飯先生からそういわれ、ぺこっと頭を下げて


「わかりました。ではまた後で……」


 ……と、甲司は作業に掛かるのだった。



(うーーん……)


 取り敢えず、外部と繋がるドアにも処置を行う。登録した人間だけ出入りができるように……これは糧飯先生からも許可を取ってある。外部から荷物を搬入されることもあるので、外部の人間が入らないと困るだろうけど、それは外部の壁に設置してある搬入口を経由するので問題はない。アイテムボックスの能力を利用して、登録された身分証を所持している配送人なら利用できるって寸法だ。


※万が一、爆発物が運び込まれても大丈夫なように、専用アイテムボックス内部は時間停止措置が施されているので永遠に爆発しない……イヤ、ソンナモノガハコビコマレナイニコシタコトナイケドサ……



 そして中の倉庫には設置型のアイテムボックスを付与。専用作業部屋の広さは大体4畳半くらい。そして倉庫部分の内部空間は凡そ1畳半……2.43㎡となる。甲司はコンコンと叩いて回り……これなら問題無いなとアイテムボックス付与を念じる……


「内部拡張30倍……重量軽減-90%……アイテムボックス付与!」


ずずず……


 と魔力が吸われる感じがし、倉庫のドアに触れていた手が、腕がぼんやりと光っている……


「……ふぅ、疲れた。最後に使用者の登録を……」


(取り敢えずは僕こと甲司のみとし、必要に応じて「信用できる者」を増やせるように設定)



〈東区第5小区中学校・家庭科室・専用作業部屋・倉庫の使用者に「匣岬 甲司」を登録しました〉


 システムメッセージが脳裏に響く。これは登録者と被登録者……つまり、僕以外には聞こえない仕様になっている。勿論、他に登録する人間を増やせば該当者にも聞こえる筈だけど……


(取り敢えず、仕様書とか使用説明書も作った方がいいかな?)


 登録利用者が増えた時の為だけど、中身はガランとしてるだろうし……先ずは内装を整えるのが先かなぁ?


━━━━━━━━━━━━━━━

 尚、中に入ってみた甲司だが……

甲司「おお!……ガラーーンとしてるや(苦笑)」

 中に入ると、一畳半の50倍の作業部屋が広がっていたのだった……元々、一畳半とは2.43㎡で大人が独り暮らしするには少々手狭なアパートの大きさではある(モノに依ってはもう少し狭いだろう)が、50倍に拡張された部屋は121.5㎡となっていて……大体18畳くらいの広さになっていた。

甲司「……仕切り板で分けた方がいいかな?」

 流石に少々広い部屋は落ち着かないと、追加で仕切り板や作業机に物を一時的に仕舞っておく棚や諸々を発注しないとなぁと考える。無論、拡張されてない表向きの作業部屋にもある程度は内装を整える必要はあるだろうが……(木製のは高いので金属製の物になる)

甲司「こっちは余り物を置くと狭くなるから……せいぜい机と椅子と棚を1つくらいか……」

 3畳しか無い無圧縮な空間には、流石にそれくらいしか置けないだろう……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る