似非ミスリル

84 アイテムボックスに拘って…その84

 甲司こうじがコンテナに引き籠っている間に起った事件は人の口伝手にゆっくりと広まり……甲司の耳に入る時には紆余曲折うよきょくせつを経てトンデモな事件に発展していた。とはいえ、甲司は自身とは関係無い話しだと話し半分で聞いていた訳だがっ(笑)

 そして学校に登校した後、日本政府からの通達を聞くこととなるのだが……

「え、日本政府?……まだ現存してたんだ」

 ……今更感、半端ない(笑)

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──日本の象徴のみを護ることに特化した日本政府……国民からは嫌われています──


「……ということで、発見したら学校に報せるように!」


ざわ……ざわ……ざわ……


 要は、純ミスリルを発見したら独り占めせずに素直に学校に持って来て報せよ……ということらしい。


「日本政府ってまだ現存してたんだ……」


「俺、隕石事変の時に潰れたかと思ってたわ(笑)」


「だよなぁ……自衛隊もロクに動いてなかったし!」


 まるで自分の目で見て来たような感じで駄弁ってる奴らだが、10年前はまだ4歳のガキだったんだし覚えてるのは無理が無いか?……と思う。


(まぁ、国民を護る為に動いてなきゃおかしいのに、殆どその素振りは無かったって聞くし……隕石で潰れたと考えてもおかしくはないけど……)


 実際には日本の象徴を護る為に全力で活動していた、らしい。自衛隊も上からの命令で仕方なく、地方の災害救助などに戦力を向かえることなく、何処どこともなく……その備品と共に姿を消したという話しだ。裏話ってのは何処にでも転がってるけど、


「日本の象徴を護る為に、とある区画へ集中させた」


 ……と、雑談を話してる時に聞いたんだ。誰にかって? ま、まぁ……糧飯かてい先生のお父さんにだけど……あの人は唯の金持ちじゃないみたいだ。聞いたのは極僅かだけど、色々知ってるみたいだなって、雰囲気で何となくわかった。まぁ……敢えて突っ込まなかったし、「ふ、ふぅーーん……」と余り興味が無い感じをよそおって返しておいたけど……



 取り敢えず、冬休みは終わり。先週頭からぼちぼち学校に通ってる。先の、「発見したら……」の下りは、全体朝礼で校長先生がガナってた訳だ。うちの学校は全体朝礼とか滅多にやんないから何かあるのかと思ってたら……いや、長期休暇の始まりとか終わる時はやるけどね?


(面倒なことになったなぁ……)


 まさか、僕が発見……作り方を発見したとわかれば、今までのように自由に動けなくなる可能性は高い。何しろ、調べた限りではあの魔導装置と同じような代物は……似たような物を作ってる人はいるけど、根本的に違うって訳じゃないけど……アプローチの仕方から見ると雲泥の差がある。全ての魔導装置を1人で全て作らないと魔導具を構成する全ての含魔力に差異が発生して……簡単に説明すれば、魔力が濁ってミスリルは生成できない。運が良ければ劣化ミスリル(準ミスリルより純度が低い)が作れる程度……しかも、相当時間が掛かる……


 ……と、学校の授業にも身が入らないままに放課後となる。家庭科室の改装が終わったということで、総合家庭科部は今日から久々に活動日となる訳だけど……いや、糧飯かてい先生の実家からの出資で、家庭科室の改装が行われていて……昨日、点検とか諸々の作業が終わったとかで。


「ふぅーーん……家庭科の授業が始まる前に終わって良かったねぇ……」


 くらいの感想しかなかったけど、実は……僕の存在が関わってたとか……後で聞いて驚くしかなかった。


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 家庭科室に秘密の部屋でも作ったとか?(有り得るw)

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