74 アイテムボックスに拘って… その74

 甲司こうじは思う……

「ひょっとして……触れたことがない物質でも、触れて弄ってればスキルが生えたりする……?」

 ……と。

「何それどんなチート?」

 っていわれそうだが……

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──取り寄せて貰った……何をって?……希少金属とか魔石とか──


「お届けでーす!」


「はい、お疲れ様です」


 某運送ギルドの例のお兄さんとは別のギルド員からお届け物を受け取る。少し重めの木箱の送付状には


「金属類」


 とだけ内容物が書かれていた。送付元は糧飯かてい先生の実家だ。まぁ……先生は実家から学校に通ってるんだけどね……どーでもいい情報だけど。それはさておき……


「さてさて……」


 と呟きながら玄関から中に入り……鍵を閉める。うちの連中は全員が鍵を所持してるので問題は無い。僕は、庭に出て……作業小屋となっている、コンテナハウスへと移動する。そこなら時間に余裕を作れるし、まだ午後イチの時間帯なら誰にも邪魔はされはしないと思うけど……



「御開帳ぉー♪」


 と、釘抜きを使ってぎぃぎぃと釘を抜いて行く。蓋を取ると緩衝材のわらが入っていて、それを取り除くと……


「箱?」


 木箱の中から木箱……マトリョーシカかな? まぁ、中の箱には素直に金属片が入ってたけど……保護材で包んであった訳だ。



 今……蓋に「ミスリル」ってカタカナで書かれた箱を開いて中身の金属片を見ている。蓋の裏には諸元情報が書かれた紙が挟まってた。それを手に取って開いて読む……



【ミスリル(聖銀)】

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◎純銀に魔力が浸透して完成されたモノ

◎銀1に対し、魔力100の割合で浸透させ……100年の年月を掛けて安定したモノとされる

◎今回入手したミスリルは準ミスリルで正当なミスリルと違い、人工ミスリルと呼ばれるモノとなる

◎準ミスリル片100g……1億円也

※純銀10:魔力100で30年寝かせて製造。純銀量を増やしても時間不足で性能的には純正に比べて半減した

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「……成程。純ミスリルってクソ高いし、こいつは本物じゃないのか……」


 他にはサンプルとして入手可能な鉄以外のモノを……ということで鋼鉄、軽鉄、ステンレス、金、銀、銅などなど、合金も含めて色々入ってたんだけど……


「ファンタジー金属はミスリルだけ……しかも偽物」


 ちなみに、現存するファンタジー金属は名前しか存在を確認してないけど、オリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネなどの有名なモノがあるが……


「まぁ……入手できるにしても、金銭で買える訳はないか」


 と、さっさと諦める。


「でもなぁー……実在する金属でせめてチタンとかあったらなぁ……」


 このご時世、希少金属レアアースは入手がし難いということだ。だからどーしたって話しもある。仮に鉄からチタンを産み出すことができれば……


「……まさかな」


 苦笑いしながら取り敢えず準ミスリルをもてあそびつつ、手に馴染ませる甲司だった。


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 それこそ錬金術の領域……。だがっ!……甲司はアイテムボックス付与スキル所持者であって錬金術師ではないのだったw

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