68 アイテムボックスに拘って… その68
父親の腰痛用に魔導具……といえるかどうか微妙な所だけど。即席で作って試して貰おうと腰にセットして見送った後……
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──ごちそうさま、いってらっしゃい!──
「「ごちそうさまでした!」」
「はい、お粗末様」
2人が朝食を食べ終えた後、歯を磨いて用意しておいた装備を装着していく。朝飯を食べる時は室内着……要は寝間着だ……だった2人だが、一旦部屋に戻って探索用の服に着替えてくる。
そして革の防具を上から着込み、ベルトに鞘を差し、ナイフを抜いて状態を確認して鞘に戻す。重量軽減のみ付与した
「よし、準備オッケー!」
「同じくおーけー」
体をぽんぽん叩きながら確認していた兄妹に
「探索者ギルドカードは忘れてないか?」
「え……と」
タナが肩掛け鞄の中に手を突っ込んで、ミナはポーチに手を突っ込んで確認する。
「「……問題なし!」」
2人共同じタイミングでカードを見せてニコっと笑う。
「うん……じゃあ、気を付けてな?」
「「はーい!」」
手を振り、見た目には必要最低限の装備で出発する2人。
……ぱたん。
玄関のドアが閉じ、
「さて……と。昨日の続き……の前に家事やらんとな……」
両親は仕事で忙しい。冬休みの間の家事は自分の役割であり、増えた扶養家族の世話も自分の役割だ……と、甲司はまずは食器を片付け……日課の掃除を始めるのだった。
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今日は月に1度の依頼をこなす日と決めていた。アイテムボックス付与の袋や箱、偶に違う物が送られて来るが……尚、付与依頼の品は昨日の昼に送られて来たということだが……
(
仕方なく、荷物を受け取りにこれから行く所だ。持って帰れる大きさだと面倒が無くていーんだけどな……。と思いつつ、
唯の輸送魔導車が安全に走れる道路なぞ、今の日本の何処を探しても存在しないのだ。第0から第3区なら防護レベルが半端ない為に恐らくは大丈夫だろう……が、そんな所に入れる者は輸送業なぞしていない。専属の者が運ぶのでそもそも外部の企業は入る隙が無いともいえる……力無き者たちは、外敵から身を護る為、同等レベルの警護者が必要なのだ……
・
・
「すいませーん」
「おう、いらっしゃい」
ここ最近、不在通知を持って現れる小僧として顔パスな甲司。近所の家には再配達などはしてないので、取りに来るのが鉄則な為だが……これが重量級の荷の場合は高額な再配達料金を支払うので支払い能力の無い受取人は大変と聞いている。
(ま、僕には関係無いけどね……)
最近完成した、重量軽減+内容量拡張のベルトポーチのお陰だ。腰側に装着するとスラれるのでベルトバックルの横に装着してる。
「昨日の奴だよな?」
「はい、そうです……あ、これ」
と、不在通知票をベルトポーチから出す。
「おう……ちょっと待ってな」
不在通知票を受け取った受付の兄ちゃんが奥に引っ込む。この運送ギルドは受付は交代でやってる為、女性受付も居るには居るが、朝と夕の時間帯でないと会えない。所謂、ギルドの都合で居たり居なかったりということが殆どだ……なんて益体もないことを考えてたら戻って来た。
「おう、待たせたな」
……と、一抱えもある木箱を肩に担いで戻って来た。
「重そう……」
見た感じ、甲司の力じゃ持ち上がらない感じがプンプンする。
「まーな……表に置くから、そこどいてろ」
受付の横のドアを開け、静かに床に木箱を置く受付の兄ちゃん。
「えと……」
「あぁ、追加料金は無い。さっさと持って帰ってくれ」
「あ、はい……」
まぁ、いつまでも受付の前に置いてれば邪魔になるのはわかるけど、それはないんじゃない?……と思いつつ、甲司はベルトポーチに木箱を収納する。
「それじゃ、また宜しくお願いします……」
と、ぺこりと頭を下げ、運輸ギルドを去る甲司。そんな様子を見ていた受付の男だが……
(あれはアイテムボックスだよな?……あんな小僧が持ってるなんて……)
どうにかして入手できないか?……とか、あの小僧に聞けばわかるだろうか?……など、考えていたのだった。
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この男、最近運輸ギルドに入ったばかりの新人。どうにかして楽して実績を詰めれないかと画策してるようで……
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