61 アイテムボックスに拘って… その61

 匣岬 甲司はこざき こうじ14歳。中学2年生……彼は元小学生のタナとミナの兄妹を連れて自宅へと保護した。幸い、家族にも受け入れられ……父親もタナミナ兄妹を養子として引き取ったという(気が早い気がしないでもないが……)

 そうして契約をした6日目……必要な物資を購入し、自宅へと戻る途中で襲われた。無事に帰宅した後……両親に怒られはしたが心配からくるモノであり、反省もしてる所からすぐに開放された。タナミナ兄妹はまだまだ母さんに捕まっているが……今頃は親子としての親睦を深めイチャイチャしているだろうw(父さん?……まだ仕事してるんじゃないかな?)←温度差が凄いが帰宅してないんだからシャーナイ(苦笑)

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──7日目──


「これ、作ったから着てみて」


 朝、食後に2人に装備品を渡して使い方を説明する。ショート・ブーツの初期設定は自分で履かせてからやってあげ、後は脱着はこうやるんだよ……と口で説明してから実際にやらせてみる。


「おー!……これ便利だし足の防御力が上がったな!」


「いや、鉄よりはマシだけど直接噛まれたりすんなよ?」


「かわいいー!……お兄ちゃん、ありがとう!」


「お、おう……」


 タナは男の子らしい反応でミナは兄心をくすぐる褒め方をしてくる……妹サマとは雲泥の違いだね!


 一応防御力上昇の付与はしてるが、そう何度も攻撃を受けるとヤヴァイ。極力敵からは逃げろといい聞かせる。


「それと、これもだ」


 と、上半身、両腕、両足の革防具も渡す。要所要所しか覆ってないが唯の服よりはマシだ。一応、僕と妹サマのお古を与えて着替えてはいるが……普通素材の衣類の防御力はほぼ0だ。


「何もこの家に住むならわざわざ危険なダンジョンに行かなくても……」


 と母さんはいうが、元々これがこいつらの生活の糧を得る生業なりわいだし、それを拒否するというなら今までのこいつらの生を拒否するようなものだ……そう説明し、隣でうんうんと頷く兄妹を見て母さんは渋々受け入れたようだ。


 だが、ダンジョンでは基本隠れながら移動して落ちている物を拾いまわることと、戦闘は絶対に回避すること……とクドイようだがいい聞かせると、


「そんなの当たり前じゃん……俺ら、武器なんて持ってないんだぜ?」


「そーそー。ヤバっ!……って思ったらすぐ逃げてるし!」


 ということだ。危機感知スキルと逃げ足スキルが生えてるかも知れないな……こいつら。


※甲司には人物鑑定スキルは未だ生えてないので確認しようがないし、ギルドのスキル検査の魔導具は使用料が高額なので試す気も起きない……



 という訳で、ダンジョンに行く時は汚れてもいいようにお古でも捨てていいような少し穴の開いたボロをアンダーシャツとして着せた。流石に以前のボロより酷いのは無いが外を歩く時は母さんなら気にする程度にはボロだ。


「いいのか?……こんなに上等な服を着てって……」


「あー……確かに穴空いてるけど、こんなちっこいよ?」


 2人にとっては上等な部類に見えるらしい……。いや、僕も気にしないけどさ(苦笑)(小さくて着れないけど)2人は部屋着として着ていた寝間着を脱ぎ、ボロ着に着替える。そして革防具各種を装備して玄関に向かい……ショート・ブーツを履く。


「んじゃ、行って来る!」


「行ってきまぁーーす!」


 2人を見送り、再びアイテムボックス付与スキルのレベリングに戻る甲司だった……


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 そろそろ納品の催促が来そうだし、ある程度用意しておかないとなぁ……と、前回と同じラインナップを用意する甲司。駄菓子菓子……蓋を開けてみれば、全然違う依頼が来てしまい、困るのだった!

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