54 アイテムボックスに拘って… その54

 夕方、兄妹タナミナと探索者ギルド前で待ち合わせをした後、探索者ギルドの中でトラブルが発生。急いで中に入ると、他の探索者たちがタナに文句イチャモンを付けていた訳だが……

「あいつらがバレないように他人の獲物を盗めるとでも思ってるのかね?」

 と呟くと、受付嬢が小さく噴き出すくらいには受けていた……いや、そんなに面白いこといったかな?

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──3日目 その2──


「さっきは散々だったな」


「あー……時々居るんですよ。何かと難癖付けて絡んで来る奴が……」


「大迷惑!」


 応接室に向かう道中……という程に廊下は長くは無いが。先程絡まれていたことをネタに労うと、溜息を吐きつつタナが返し、ミナは本心をストレートに吐露とろしていた。


「今日、時間は大丈夫か?」


 とある物をその場で調整してから譲渡じょうとと思い……時間が掛かっても大丈夫か問うと、


「大丈夫です。後は夕飯食べて寝るだけですんで」


「ミナも同じぃー!」


 と返される。ちなみに2日目からは当人たちの姿恰好が1日目と変わらず……洗濯もしてなさそうだし、風呂も入ってなさそうだったので、仕方なくその場で衣類の洗浄をして風呂代を余分に渡した。まぁ……会うのはダンジョンから帰って来た後なので本当に銭湯に通ってるかはわからないのだが……


※銭湯といっても広い湯舟がある訳ではなく、コインシャワーみたいに狭い個室がある公衆浴場。500円で3分だけお湯のシャワーが出て、その間に体を洗って時間が余れば汚れた衣類を選択してもオーケーな緩いルールではあるが、獲物の解体は禁止されている(血肉が下水管に詰まる可能性があるので)




「いいのか?……これ」


「おおー!……頭装備だ!」


 タナとミナの頭の寸法を測らせて貰った後、僕の試作アイアンキャップ(照明付き)を渡した。手持ちのアイアンインゴットから作ってから後付けで灯りの魔導具を挿し込んだだけだけど、これも本人の魔力を用いて点灯するので魔石要らずだ。ちなみに本日の素材と壊れた道具類は昨日より少なめだった。そりゃ毎日回収して来れば減るのはわかる……ダンジョンで物を捨てるにしても毎日毎日溢れる程捨てる訳じゃないしね。


「頭の保護は大事だからね。後、暗い所を歩く時も明るい方がいい場合もあるだろ?」


 自宅へ戻る時の夜道とかね……と思いつつ、それぞれサイズが違うアイアンキャップを渡す。


「うん……そうだな。ありがとう」とタナ。


「ありがとう!お兄ちゃん!」とミナ。


 構造は前作った僕のと同じく……外側は薄い鉄を防御力付与した物で覆っていて、中にはスパイダーシルクやらビッグラットの毛皮を浄化した後に詰めた物だ。攻撃のダメージを強化した鉄の層で軽減して、衝撃は詰めてある物で緩和の二段構えという訳だ。ゴブリンとかの拳骨くらいはこれで完全に防げると思う。こん棒とかの武器で殴られたらわかんないけどね。勿論、首が折れて吹き飛ぶ程のダメージは防げないので注意が必要だ(つか、そんなん喰らったら死ぬって……)


 そして、今日も弁当を詰めた弁当袋と水を渡し、風呂代を渡す。


「じゃ、何も持たずに立って」


「うん……ありがとう」


「お願いしまーす!」


 兄妹に布洗浄を掛けて衣類を綺麗にする。着たままだと内側の洗浄が不完全になりそうだけど、何故か布や糸に関する部位は全て綺麗になる……勿論、肉体は布と違うのできちんとシャワーなり浴びて綺麗にして貰わないといけないけどね。


(明日はアイアンキャップの調子も見ないとな……)


 自分の作った初作品だ。何か問題があったら修正しないといけないし……


(これじゃアイテムボックス付与師じゃなくて錬金術師だよなぁ……)


 とボヤキつつ……兄妹と別れて自宅へと戻るのだった。


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 自宅に戻ったら飯食って風呂入って渡された素材やら道具やらを調べてインゴット作ったり布にしてみたり……などのルーティンをしてから寝る甲司こうじだった。うむ……詰まらん!(ストイック主人公だけに何も起こらないw)

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