52 アイテムボックスに拘って… その52

 ……2日目。タミとミナから回収素材などを受け取り、家に持ち帰った甲司こうじ。夕食の後、今日入手した素材を調べるのだが……さて?

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──なにができるかな?──


「さーてっと……」


 ベルトに括り付けた小銭入れから袋を取り出す。最初の袋は重量軽減付与の布袋だ。素材は再生スパイダーシルクで編んだ布袋。口は紐で引っ張ると締まり、軽減倍率は80%……100㎏の物を入れると20kgとなる逸品だ。尤も、そんなに大きい物は入らないので見た目には水3リットル入ればいいくらいだ。その中から出て来たのはほぼ同じ大きさの……素材は同じ再生スパイダーシルクの布袋。こちらは内容量拡張20倍の付与がされている。


「重いから床にっと……」


 ごろりと転がる布袋。区別が付くように、重量軽減は紐の色が水色。内容量拡張の物は赤い紐を付けている。まだ作れていないが、時間停止付与の布袋には黒い紐を使おうと思っている。紐を緩めて中の物を取り出して行く……今日のお品書きはこんな感じだ。



◎破れたスパイダーシルクの布×9

◎破れたビッグラットの毛皮×2

◎ダンジョンスネークの脱皮殻×2

◎魔石の欠片×21、ひびのある魔石×3

◎砕けたスライムコア(青)×12、(灰)×17

◎溶けてひしゃげた盾(鉄・酸)×2、ひしゃげた盾(鉄)×3

◎ひしゃげて砕けた剣(鉄)×2、溶けた短剣(鉄・酸)×8

◎凹んで装備できない胸装具(鉄)×2

◎傷だらけの皮鎧(DS・胸)×2

 ※DS……ダンジョンスネーク。何枚も重ねて防御力を上げている

◎ビッグラットの毛皮の毛×31

◎スパイダーシルクの糸×53

◎金属片(鉄など様々)×72



 余りラインナップに変わりがないけど、魔石……欠片とかひびが入っているが……が加わっている。



「前はスパイダーシルクの再生品を作ったし今度は鉄製品の再生してみよっかな?」


 砕けたシリーズとひしゃげたシリーズの鉄製品を作業台の上に置く。流石にでっかい塊は後にするとして今は細かい部位を……そこに細い鉄棒も置く……金属片を精錬せいれんした奴だ。あの後、スキルとして使用した金属細工・金属加工スキルから派生したのか……金属精錬スキルが生えていた。詳細を見ると鉱物にも作用するようで溶鉱炉無し・・・・・で鉄鉱石から鉄インゴットがじかに作れる。凄いスキルとしか思えない……



「これくらいでいっかな……」


 作業台の上にインゴットができるくらいの量を鉄くずを置いてから念じる。


(……鉄インゴット生成)


 光が鉄くずに集中し、数秒ののち……光が収まると、鉄インゴットが鎮座していた。


「お、おー……」


 甲司が感嘆を上げ、手を伸ばして恐る恐る、人差し指で鉄インゴットに触れる……


「……熱くはないな」


 両手で捧げ持ってみる。5kgくらい? 大きさ的にはそれ程ではないが米5kgの袋と同じくらいに感じられる……そして、少しよろつきながらも床に静かにけておく。こうして……残りの鉄くずを大体同じ量を出しては精錬していく。


 全ての鉄くずを精錬し終え、鉄インゴットの数は11本となっていた。最初でこそひと山の鉄くずからインゴットが生成していたのだけど、その内にインゴット1つと小さい板が何枚かができていた。恐らくは効率が上がり、インゴットに満たない素材は小さな鉄板に精錬しているのだと思う。


※小さい板が10枚集まるとインゴット1つになるようだ



「さて……っと。何か作ってみようかな?」


 昨日の帰宅中に夜道が暗かったのもあるし……街灯とかあると便利だよね? 若しくは懐中電灯でもいいかな? でも片腕が塞がると困るし……帽子に灯りの魔導具を付けるか埋め込んでみてもいいかな?……という訳で、灯りの魔導具を埋め込んだ帽子……というよりはヘルメット? を作ってみることにした。


「えーっと……今在る帽子……は、余り参考にならないなぁ」


 取り敢えず探索者や冒険者の重装戦士のヘルメットを参考にしてみる。いや……以前、一般市販品をギルド内の店で展示されてるのを思い出してるだけだ……基本的にフルフェイスヘルメットと呼ばれる物で、跳ね上げ式の顔面覆いを跳ね上げれば顔が見えるけど……


「あれは重そうだし視界がなぁ……」


 あーだこーだと考えた結果、色々省略した物となった。


※野球で使うヘルメットに近い。但し、耳覆いは両方にある



 全部鉄にすると重過ぎる為、中にはスパイダーシルクやらビッグラットの毛皮を浄化した後に詰めた。灯りの魔導具は額の左右に1つづつ配置して……魔石方式にすると維持費がかかるから自身の魔力で灯りが付くようにする。


「よし、これで頭の防具代わりにもなるし、夜道も安心だな!」


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 ぶん殴られても落ちないように、顎下に紐を通して落とさないようにしてみました!

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