アイテムボックスに拘って…

51 アイテムボックスに拘って… その51

　タナとミナの2人と改めて契約した。昨日はその依頼した１日目だ……まぁ、こっちが待ち合わせした時間に遅刻しそうになったんだけど。取り敢えず想定以上の数、素材やら諸々を持ち帰って来てくれたので安堵する。そして２日目に……彼らは無事に戻って来るだろうか？

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──２日目──

「……お帰り」

「お……おう」

「ただいまー」

　ミナは素直に跳び付いて来て、タナは少し恥ずかしそうにそっぽを向いている。

「じゃ、応接室の前に清算してきな？」

「お、おう」

「行って来るねー？」

　と、２人仲良く受付カウンターへと歩いて行く。僕は待っている間、ギルドの掲示板を眺めることにした……

「ふぅーん……色々な依頼があるんだなぁ……」

　主に、ダンジョンで産出するドロップ品や死体から剥ぎ取る素材の採取依頼がメインのようだ。討伐依頼なんかもあるけど恐らくは増えすぎた魔物の間引きなんかだろう。ダンジョンは放置しておくと魔物が増え過ぎて第１階層の地上出入口から溢れ……所謂（いわゆる）スタンピードとなって地上に流出して地上におびただしい被害をもたらすとか何とか。

　そうならないようにと、定期的に間引き依頼があるって訳だ。

（……にしても、安いなぁ。素材採取の依頼の報酬……）

　兄妹？に依頼しなくても、これなら依頼出した方がいいかもな……なんて考えてたら

「コージ、いつでもいいぞ？」

「コージ兄ちゃん？」

　……と、背中を突（つつ）かれた。

「あぁ悪い悪い、行こうか！」

　ってことで、ちょっとだけ思考が悪企みしてしまったけど……まぁ必要になったら活用してもいいかもなと思ったのは事実だ。兄妹（タナミナ）に無理はさせられないしね！

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　此処（ここ）はいつもの応接室だ。今更ながらの説明だけどギルドの応接室は商談なんかにも使われるので盗聴などはできないようになっている。だからこその10分千円の料金が掛かる訳……ｸｿﾀｶｲ。

「はい、確認したよ。今日も有難う！」

「お、おう……」

「ううん！……明日も頑張るね、お兄ちゃん！」

　と感謝して感謝されて。

「あ、そうそう。お弁当なんだけどね……」

　少し大き目の頑丈そうな布袋……素材が厚っぽい麻を何重かにして仕上げた弁当袋だ。丁度、大き目の弁当箱と水筒が入るようにしてある。内容量拡張とか重量軽減などの付与ではなく、時間経過軽減の付与がしてあるんだ。それをタナとミナに１つづつ渡す。

「これは……若しかして弁当かっ！？」

「弁当入れだ！……水筒も付いてる！！」

　一見すると大き目の巾着袋だけど、底の形状は弁当箱と水筒を入れ易いようにしてある。

「こいつは時間経過軽減の付与を施してるんだ。これで明日の夕方くらいまではホッカホカのままで弁当を食べられるぞ？」

　普通なら2、3時間も経過すると冷たくなり冷や飯を食べる羽目に遭う。つまり、24時間くらいなら調理直後とまではいかなくとも暖かい飯を食えるって寸法だ。保温効果を考えて袋の素材を厚くして中空部分を作り、時間経過緩和の付与を与えた訳だ。勿論、弁当箱にも工夫を加えてるお手製だが……まぁ面倒だから説明は割愛（かつあい）する。

「捨てる訳はないと思うけど、次回にも弁当箱と箸・水筒も使うから必ず持ち帰ってくれよ？」

「「うん！」」

「後、重たいと思ったらリュックに入れればいいから……まぁその辺は自分で考えてくれ」

　いつまでもいった通りにしてると工夫する頭ができないから提案だけして後は自分で工夫してくれと突き放す。いうことだけ聞いてればいいやって思われると命令を聞くだけのロボットに成り兼ねない。そういうのは避けたいし、ある程度は自分たちで責任を持って欲しいからな……

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　取り敢えず弁当と保存食を１食分だけ渡し、報酬の金銭も渡そうとしたんだけど……

「これだってアイテムボックスなんだろ？……だったら今回はいいよ！」

　と断られた。いや、それ貸すだけだしいつかは返して貰おうと思ってるんだけど……

※お疲れさん代で譲ってもいいけどなとも思っている甲司（こうじ）だったｗ

　何となく見透かされてる気がする（特にミナに）けど、まぁ……それはいいかと本日分の素材や道具類を受け取る。

「じゃ、また明日な！」

「あぁ……気を付けて帰れよ？」

　ぺこりとお辞儀をするミナ。そして2人が応接室を出たので僕も帰ることにした……

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　自宅まで戻って来れたことに安堵し、

（この辺の街灯とか、きちんと設置したいよなぁ……暗いから何か潜んでても見えないし……）

　……と、溜息を吐（つ）く。もし、何かが潜んでいるとしたら……。それはかくれんぼしてる子供でも野良猫とかでもなく……賊（ぞく）の可能性が高い。子供を攫（さら）う人攫いとか、金品を狙う強盗とか……ひょっとすると野良の魔物の可能性もある。

　どちらにしろ、中学生の僕には荷が重い訳で……

（何か考えてみるかなぁ……）

　取り敢えず、家にある素材や今回持ち帰って貰った素材や、道具で何か作れないかな？……と考えつつ、自宅へと入るのだった……

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　甲司の中では様々なスキルが生えてますが錬金術のスキルが生えてたら色々作れますなｗ