50 アイテムボックスに拘って… その50
高級契約書(契約内容を破ると激痛な頭痛で行動不能になる)でタナとミナの元小学生コンビと契約をした。一通100万円と高価な契約の魔法が掛った契約書だ。2人にはアイテムボックスを付与した重量軽減のリュック2つ、内容量拡張のショルダーバッグとポーチを貸与した。これを用いてダンジョンに入って貰い、ダンジョン産の素材とできれば(壊れていても構わないので)袋か箱のドロップ品を回収して来て貰うこととなっている。
さて……彼らは思い通りに回収して来てくれるだろうか?
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──1日目──
「じゃ、宜しく」
回収したリュック・ショルダーバッグ・ポーチに、ダンジョン探索で使うだろう道具や消耗品を詰めて渡し直す。一応……探索者ギルドで一般的に使う道具や消耗品を聞いて中の購買で2人分を買って中に入れておいた。2人が僕より体が小さいことを鑑み、少し少なめにしたけどね。
リュックに水と弁当2食分。ショルダーバッグとポーチには道具類を分けて入れておいた。口頭でも説明したけど、何が
探索者ギルド前で2人と別れ……僕は家に戻る。冬休みだと学校でやってる作業ができないので困るんだよね……まぁ、通常品質の素材とそこから作り出す物はアイテムボックススキルのレベル上げで役に立たないから、金稼ぎに少数創るくらいしかない。とはいえ、もう
そしたら
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「お、時間か……」
時計を見ると午後5時くらい……先に回収した僕が要求している以外のアイテムをギルドで売却して、それから僕と会って渡すという算段が付いている。一応定刻までに僕が現れなかったら次の日にと約束しているので、30分だけ待ってみて来なかったら次の日に回されてしまう。かといって初っ端から遅刻して2日目に回されるのも規約違反……という訳じゃないけど、何となく負けな気がするので走って探索者ギルドへ向かうのだった!
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「ぜえぜえぜえ……ま、待った?」
「いや……んな無理して走らんでも……」
「大丈夫?」
タナが呆れた顔して頭をぽりぽりと掻いている。ミナは心配そうにゼーハーしてる僕の背中を擦ってくれる。優しい……(出会った時と全然違う対応に困るっていうか……)
「じゃ、じゃあ……応接室に行こうか?」
まだ汗がダラダラ流れる顔で僕は2人を案内する。一応、前払いで応接室を30分だけ借りているのだ。1箇月分で30回×30分。そんなにクソ高い出費でもない……毎月100万円の支払い……あーー、僕から見ると口座に振り込まれる、となると収入か……があるしな……ちなみに最短時間10分で千円なので合計9万円だ。
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「えーっと……破れたスパイダーシルクの布×11と……」
第1階層では割と安物の素材は放置されてることが多いんだけど、タナとミナのような回収屋が拾って行くので余り残ってることはないそうだ。仕方なく奥まで足を延ばして行くしかないそうだが……
「今まで行ったことのない場所まで行くのに、これ役に立ったよ!」
と、魔物避けの魔導具を取り出して感謝するタナとミナ。安物だと線香のように火をつけて煙の臭いで
逆に、持たせた魔導具は魔力を感知する魔物全般に効果がある為、第1階層の魔物全般なら問題無い筈だ(第2階層から下に現れる魔物は除く)……但し、魔導具なので稼働には魔石が必要となる。とはいえ、消耗はゆっくりなので……月に1回魔石を交換するか、魔石に魔力を充填し直せばいい筈だ。安物の魔石だと使い切ると砕けてしまうけど最初に入れた魔石は何回か充填可能なクラスの奴なので……来年暖かくなるまでは大丈夫じゃないかな?
「役に立ったなら良かった。一応、魔石の魔力が切れてくると効果が落ちるから」
「あ、うん。そしたら知らせばいいんだよな?」
「うん、そう。魔力を充填するからいって欲しい」
「わかった!」
ということで、最初の回収品を僕のアイテムボックス(小銭入れ)に回収し、お返しとして消耗品(食事や水)と僅かだけどお金を渡しておく。流石に道具などは1日でどーかなるような物は用意してなかったので……一応点検したけど問題は無かった。
「お、そろそろ時間か……じゃあまた明日、宜しくな?」
「おう!……明日からはいきなりダンジョン行ってもいいんだよな?」
「うん。今夜の飯は渡した金で食べてくれ。渡した食料の内、弁当は明日の朝。保存食は昼にな」
「わかった。じゃあ、明日の夕方に!」
「お兄ちゃん、またね?」
「あぁ、また明日」
タナが頷き、確認してからミナが別れの挨拶をして僕も応じてから応接室を出る。夕方でも冬となると5時過ぎは結構暗い……一応、街灯なんかはあるけど曲がり角や交差点くらいにしかないから特に……
※作者が子供の頃……小学生低学年頃はちょっと奥まった道なんかに入ると真っ暗でした。遠くに街灯があるから停電になったよりは明るいんですけど新月の日は街灯の付近以外では真っ暗……そんくらいの暗さです
という訳で、実は糧飯先生の派遣した
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「今回の収穫はっと……」
◎破れたスパイダーシルクの布×11
◎破れたビッグラットの毛皮×5
◎ダンジョンスネークの脱皮殻×1
◎砕けたスライムコア(青)×8
◎砕けたスライムコア(灰)×3
◎溶けてひしゃげた盾(鉄・酸)×1
◎ひしゃげた盾(鉄)×2
◎ひしゃげて砕けた剣(鉄)×8
◎溶けた短剣(鉄・酸)×5
◎凹んで装備できない胸装具(鉄)×1
◎傷だらけの皮鎧(DS・胸)×1
※DS……ダンジョンスネーク。何枚も重ねて防御力を上げている
◎ビッグラットの毛皮の毛×83
◎スパイダーシルクの糸×31
◎金属片(鉄など様々)×58
「結構あるなぁ……まずは細かいのを何とかしないと……」
といいつつ、作業台の上に腕輪のストレージから金属片を出す。
「これは鉄か……んじゃ精錬」
流石にインゴットには足りない為、細い鉄棒が現れる。
「じゃ、次。どんどんいこう!」
とまぁ、夕飯前にどんどん細かい素材を上位素材へと精錬していく甲司だった……
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無論、母親に「ご飯よ!」……と呼ばれるまで夢中になってるのはお約束であるw
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