47 アイテムボックスに拘って… その47

 2人の元小学生の孤児2人に前払いの報酬……ではなく、取引材料として4つのアイテムボックスを貸した甲司こうじ。だが……少女は兎も角、少年は売り飛ばして高跳びしようと画策していた!(まぁ外国なんて行けないけど)

 そしてDRP……ダンジョン買取所で売ろうとしてそこの親父に盗品扱いされ……甲司の元に戻されることが決定する。果たして、2人の孤児にはどのような刑罰が降り掛かるのだろうか……?

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──呼び出しを喰らう甲司──


「え?……探索者ギルドから呼び出し?」


 身に覚えがない事態に戸惑う甲司。


「お兄ちゃん、何かやらかした?」


 辛辣な台詞でガラスのハートを砕きに来るのは妹の匣岬 岬子はこざき さきこだ。うちの一族は苗字が箱にまつわる字が入っているせいか、名前にも1字は最低限入っている。まぁそれはどーでもいーが……


「何もやってない筈だけど……」


 とだけ返してスルーする。


「お父さんにはいわないでおいてあげるけど……急いで出頭してきたら?」


 と、妹と同様に辛辣な母さん。いや、それじゃ警察に出向く犯人みたいじゃん? 仕方なく、朝飯をかっ込んでからもしもの時の為に色々装備を固めてから家を出た。勿論、身分証明書も持った。このご時世、身分を証明できないと色々と困るからなぁ……


※年齢制限で探索者や冒険者のギルドカードは発行できないけど、学校の修学証明書も代わりにはなるのだ……甲司には小学校卒業のしかないけど。



 そしてやってきました探索者ギルド。この地区はダンジョンが傍にあるので、冒険者ギルドよりは規模が大きく……警察署もあるけどこちらの方が戦力的にも権力的にも強い、らしい。一応、国家権力的には警察署のが上らしいけど……銃弾を剣で弾く冒険者や探索者とか居るしね……コワッ


「すいませーん」


 冬期休暇に入っているのでやたらと子供の探索者見習いが多い。僕はまだ14歳なので後1年待たないとギルドに登録すらできない……グヌヌ


(細かいことをいうと次の12月の誕生日になるまで……か。まぁ、数え年だと15歳だけど……うちの親は15歳の誕生日が来なかったらダメ!……って決めてるので仕方が無い)


「はい、探索者ギルドへようこそ!……登録かな?」


 と、20歳はたちくらいのお姉さんが受付で応対してくれたけど、残念!……登録じゃないんだよなぁと心の中でブブーっと鳴らしつつ。


「えっと……今朝、呼び出しを受けたんですが……あぁ、名前は匣岬 甲司と申します」


「はこざき……こうじくんね……ちょっと待っててね?」


 相手が子供でも丁寧に応対してくれる受付のお姉さんは好印象だけど……荒くれ者が多いって噂の冒険者や探索者を相手に、あんなに丁寧な口調で大丈夫なのかな? とか思いつつ周りを見ていると……


(……朝早く来たつもりだけど、もう8時過ぎてるし余り人は居ないんだな……)


 恐らく依頼票を貼りだす時間はもっと早いんだろう。うろついてる探索者らしい人たちは余り顔色が良くない人とか待ち合わせで居る人ばかりのようで今から依頼を探して仕事に出る……という感じではなかった。


「お待たせしました。匣岬甲司くん!」


「あ、はい」


「こちらへどうぞ?……担当者が待ってます」


「担当者?」


 と、カウンターを出た受付のお姉さんに手を引かれて奥へと向かうことに。少しだけ待合室というか受付カウンター前の人たちがざわついたけど……


「あちょ、そんなに引っ張らなくても……」


「迷子になるかも知れないからね!」


 という訳で、強制的にお手て繋いで連行されたっていう……このお姉さん、子供好きなのかな?


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 基本、荒くれ者の中に初々しい子供が居たら、比較するまでもないと思う……w

※ショタ好きじゃないことを祈る!

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