45 アイテムボックスに拘って… その45
ダンジョン前で足に怪我をした少年と随行する少女の探索者2人組に遭遇する
※使ってた汚れた包帯を綺麗に洗浄したら「時間が巻き戻った!?」と盛大な勘違いをされたけど、一応そーゆースキルだよって訂正しておいたw
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──うっさん臭いわね!──
「取引がしたい」
処女作の低品質HP回復包帯……平たくいえば「包帯」だが……の残り2本を少女に押し付けつつ、甲司は取引を申し出た。
「なに、そんなに難しいことじゃない……僕はダンジョン産の布や木、できれば金属系の素材が欲しいんだ」
可能なら、袋状になってたり箱状になってるドロップ品もあると尚いいと説明する。勿論、休日なんかもあるだろうし毎日要求するような無茶はいわないとも。
「……見返りは?」
ムスっとした表情の少女が返すが包帯を譲ったというのに警戒心マックスのままだ。
(あ……名前とか所属を話してなかったか……)
正体を知らなきゃ
「あぁ、申し遅れたけど、僕は
第5区とは23に別れた東区の中でいう5番目の区画の名称だ。正式には東区第5小区というけど、略して第5区で大体通じる。東があれば西もあるんだけど……実はダンジョンのスタンピードが繰り返されていて元々人口が少ないのにそんな状況で……伝聞ではほぼ壊滅したって聞いている。
東区と西区を隔絶している壁……ではなく絶壁で魔物の侵攻を食い止めているらしい。伝聞なので見たことはないけど……ダンジョン内の魔物は死ぬと分解されてダンジョンに吸収されるらしく消えてしまうけど地上の魔物は死体が残る。もし、死体があの絶壁を埋め尽くした場合は……今はまだ大丈夫だと思うけど、10年、20年と積もっていけばその内……いやいやいや、今は交渉してる最中なんだから、こっちに集中しよう!
※死体を食べる魔物が居れば積もらないし、腐って土に還れば大して
・
・
「はこざき、こうじ、ね……」
ふん……と鼻で
「中2か……じゃあ先輩だな」
「え?」
「いや、俺たち……まだ小6なんだ……まぁ退学になっちまったんだけどさ……」
まさかの年下、しかも小学生だった!……いや、探索者って結構重労働だから喰えるならどんどん体格も良くなるけどさ……見た感じ、2人共僅かに僕よりはいい体してるんだよな……まぁそれはいい。
「そ、そっか……苦労してるんだな……」
「まーね……それで?」
見返りだったな。まぁ……あれでいいよな。
「これを貸与……あぁ、貸すよ。裏切らないでこちらの要求を満たしてる間は、な」
「「なにこれ?」」
ぽーんと放ったショルダーバッグ(革・大)を受け取るタナ。そして口の紐を解き、中を覗き込む。
「な……まさか」
と、腰に
「「……!?」」
息を飲む2人。それはそうだろう……途中で突っかかるどころか、ショートソードは全てショルダーバッグの中へと吸い込まれてしまったのだから……
「まさか……これ」
タナが目をぱちくりさせながらこちらを見て問う。
「アイテム……ボックス?」
大声で叫べば、そしてそれを誰かが聞けばどうなるかくらいの判断力は残っているらしい。少女は静かに問いを発しつつ、ゆっくりとこちらを見詰めて来た。
「ご名答。ちなみに、重量軽減は無いから余り突っ込むと重くなるからね?」
一応、見掛け上の容量は2リットルの水が入るくらいで内容量拡張倍率は5倍と説明した。つまり、10リットルの水が入るくらいの内容量があるという訳だ。そんなショルダーバッグを2人に1つづつ、合計2つ。
また、重量軽減だけを掛けた背負い袋……まぁリュックだな……内容量は45リットルくらい。重量軽減は50%減のリュックを2人に1つづつ、合計2つを貸与した。
素材なんかはリュックに入れて、普段使いの道具とかはショルダーバッグに入れればどうか? と提案したが……
「肩掛けの紐付きのポーチとかないの?……可愛い奴」
と注文を付けられた。いや、可愛いかどうかは不明だけどシンプルな奴ならあるけどな?
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見掛け水1リットルで倍率3倍の低容量のしかなかったが(試作した奴)それでいいといったので交換した。ちなみに少女はミナというそうだ。
2人共両親が死亡した時点で小学校を強制退学した孤児で引き取り手が居なかったそうだ……いや、僕の家だってカツカツらしいから引き取るとか無理だぞ?(僕自身もまだ中学生だしな!)
※孤児院というセーフティーネット?……第5区には存在しません
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