36 アイテムボックスに拘って… その36

 守秘義務ありで依頼が舞い込んだ匣岬 甲司はこざき こうじ。アイテムボックス付与の素材はダンジョン素材か魔物からのドロップ品だという……所謂いわゆる、中級以上の素材だ。

 そんなことを予見していたのか……甲司のアイテムボックススキルは……レベル2に上がっていた!

「これで十分付与成功できるぜ!」

 と、叫んだか叫ばなかったか……それは誰も知らないし知りたくもないだろう!(ォィッ!)

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──え?……目隠しっすかぁっ!?──


 ……という訳でやって来ました約束の地……ではなく、依頼人の豪邸。いや……黒塗りの魔導車で出迎えられるとは思わなかったっす……。糧飯かてい先生は用事があると、場所と時間だけ聞いて後は放置プレイ……いやあんた、依頼人との仲介とかせんでいいのっ!?……とは思ったけどさ。


 で、とある元公園のあった空き地前で待ってたら、黒塗りの魔導車が来たという訳。場所が内緒なのか、


「これ付けてね?」


 ……と、渡されたのがアイマスクと耳栓……。まぁ……内緒なら付けますけど……えぇ……



「はい、着いたので外していいよ」


「……」


「あ、そか」


 ぽんぽん。


(……着いたのか)


 ムスっとしながらアイマスクと耳栓を外す。


「帰りも付けて貰うから、それ持っててね?」


 ……と、いわれた。ので、返そうとしたけどポケットに仕舞う。


ガチャ……


 ドアを開けられたので素直に外に出る。魔導車に乗ったのも初めてだけど運転手さんにドア開けて貰ったのも初めてだよ……キンチョウスルナァ……


「うわー……」


 何処どこ此処ここ? と、キョロキョロしていると……


「匣岬さま、どうぞこちらへ……」


 と、きちっと執事服を着こなした老人ロマンスグレーなお爺さんに声を掛けられる。このご時世で寿命ギリギリそうなお爺さん……きっといいもん食ってんだろうなぁ……


「あ、はい……」


 と少々狼狽うろたえつつ、甲司は老執事の後に続く。黒塗りの魔導車は静かに発進し、何処かに消えていく……まぁ車庫に収まるんだろうけど。



 勝手口と思われる場所から敷地の中に入り、


※中央の大きな出入口は魔導車用だと思うけどさっきの魔導車は何処に行ったのかは不明だ……



 中庭を通って屋敷へ……。玄関を通って長い長い廊下を経て……とある室内に入る。


「先生?」


「は、はぁい……甲司くん?」


 その室内には……糧飯先生がいた。


「え?……ナニコレ……ドッキリですか?」


「こ、こらこら……混乱しない!……えーと、何処から説明すればいいのかしら……」


 こんらんのバッドステータスにおちいる僕と、どう説明したらいいか困っている先生に救いの手が…… 


「何をやってる?」


 と、何だか偉そうな……年の頃は先生の親父さんだろうか?……人が現れた。


(あー、まぁ……普通に考えれば依頼人……かな?)


 取り敢えず混乱していてもしょうがないので。


「あ、失礼しました……用事があるといってた糧飯先生がこんな所に居たのでびっくりしてた訳でして……」


「あぁ……」


 といいながらギロリと糧飯先生を睨む親父さんぽい人。


令子りょうこ……」


 と、一言。


「うっ……あ、あはははは……すいません」


 どうやらドッキリというよりかは驚かせようと黙っていたそうで……変わらんやんけっ! 取り敢えず、別の部屋にモノはある……という訳で、一旦部屋を出ることになったのであった……


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 先生のご実家だったらしい……。何ともお騒がせな……orz

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