28 アイテムボックスに拘って… その28

 アイテムボックス付与した布袋と木箱を出したら混乱のバッドステータスに陥った糧飯かてい先生……。まだあると知ったらキレ兼ねないのでそちらは出すのは止めておいた……まぁ数は少ないんだけどね

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──取り敢えず落ち着いて!……先生!!──


「これが落ち着いていられますかっ!?」


「そこまでっ!?」


「そこまでよっ!!」


 ぜーはーと息を乱す先生を前に、ビビり倒す甲司こうじ


「……取り敢えず、先生から見て……これは売れると思いますか?」


 落ち着いた頃合いを見計らって問う甲司。どうやら取り敢えず息を整えて落ち着いた先生は棚から虫眼鏡……に似ている大き目の拡大鏡を取り出して持って来た。


「拡大鏡?」


「元、ね。知り合いにね……簡易鑑定のスキルを付与して貰ったの」


 おお……それはそれで貴重な魔導具だよね?……何でこんな所に……とは思ったが黙っておく。


「ふむ……これは普通品質ノーマルの布袋に限界まで5倍容量拡張を付与した……という訳ね」


 重量軽減や頑丈が付与されてないから中に目一杯物を入れての運用には向いてないわね……。などとブツブツと考察している。


(矢張り考えることは似たようなもんか……)


「用途を限定するなら有効……かな?」


「……といいますと?」


「荷台や馬車に乗せて使うなど、用途を限定すればね?」


 このご時世、ガソリンや軽油で動く自動車は貴重だ。何しろ日本は燃料の殆どは輸入に頼っている。輸入するにしても重油で動く船なんかも絶望的だし、海は海洋の怪物が通せんぼをしている状況だ……。困ったことに、クラーケンやシードラゴンなど……大海原を行き来する船を沈める化け物に事欠かない。


 逆に馬、或いはそれに準じた荷引き生物を用いた荷車なんかは有効とされていた。牛車なんかも速度は遅いが馬より悪路に強いことから役立っているそうだ。中にはテイマーに飼い慣らされた荷引き生物なんかも居るそうだけど……(多分、魔物を飼い慣らして……なんだろうけど、第5区では見たことは無い。きっと、もっと外の……郊外の地区なんかだろうと思う)


 ……話が逸れた。


「一応、実用的な容量拡張の倍率も考えてみたんですが……」


「それで?」


「3倍くらいなら妥当なんじゃないかと」


「そう……ね。サンプルはある?」


「え?……テストで付与した中にありますが……その」


「何か不味い?」


「いえ……テストで付与したんで、付与の時限が多分短いんじゃないかと……」


「そりゃ……付与術師の付与した魔術や魔法なんて、せいぜい1年くらいじゃない?」


「……え?」


「え?……」


「1年が普通なんですか?」


「まぁー……ベテランが付与してそれくらいって聞くわよ?」


「……その鑑定レンズで見ました?」


「何を?」


「……さっき渡した5倍袋ですよ」


 何故か渋々鑑定レンズで再び5倍付与の布袋たちを鑑定する先生。


「うそ……マジ?……何でっ!?」


「先生……いちいちキレないで下さいよ……」


 床に叩き付けそうだったので鑑定レンズを強奪して……自分の付与したアイテムボックス布袋を見てみる。そこには……



◎能力期限:凡そ5年



 と書かれていた……マジ?


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 ベテランで(平均)1年……。甲司で(凡そ)5年w

 もうちょい倍率落とした布袋は?(見てないのでわかりません)

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