22 アイテムボックスに拘って… その22
女史生徒Aが寄越した呪具2品を洗浄再生した布袋と手拭いは……レア級とエピック級の魔導具として蘇った。
「支払えないとなると、詐欺罪で捕まるか……所有権が
と脅しつつ……
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──素直に支払うか、それとも……──
「それは……困ります」
「そのようね?」
恐らくは名も知らぬ女子生徒Aは家族に黙って持ち出し、困らせようと僕に修繕を依頼したんだろう。ちなみに鑑定した金額は魔導具としての基礎的なパラメータから出た価値だけであり、浄化とか修繕費用なんかは含まれてない。……が、元々その道のプロでもない僕には諸々の手数料を受け取ることもできないし、そもそも基礎価値である5万とか10万でも手に余る金額なのでそれでも構わなかったが……逆にいえば彼女としても支払い能力を超えている金額なんだろう。
「支払えないのでしたら、何故?」
「そ、それは……」
まぁ……唯の嫌がらせ、だろう。だが、蓋を開けたら元々の物とは思えない物に変わって返って来たと……タダどころか高額な魔導具として。僕としては、思わぬ形で意趣返しができてしまった訳だが。
(このまま見つめ合って貰っていても仕方が無いか……)
※睨み合ってが正しいw
ハァ……と溜息を吐きつつ、
「あの……いいですか?」
くるり、とこちらを振り向く先生と女子生徒A。ちょっとだけビクッ……と肩を震わせつつ、
「彼女は家族に内緒で持ち出してバレたくないんですよね?」
女史生徒Aは何故名前を呼ばないのか不審そうな顔だが、コクコクと頷いている。
(いや……名前教えて貰ってないし)
「先生は正当な報酬を支払わないと渡せない……というのが「それ、甲司君の台詞なのよ?」……う……ま、まぁそうなんですが……」
取り敢えず、双方のいい分を具体的に僕が代弁することで、取り敢えず納得して貰えたようだ。
「理由は不明ですが……何故か
一度言葉を切り、息を継ぐ。
「お金は要りません……まぁ、実費くらいは頂きますが。その代わり、僕のことを
再び息を継ぐ。いや……そんなに息が続かないんだよ……緊張してるってのもあるし。
「別に無視して貰っても構いませんが、今回のような無茶な要求をしたりしないで欲しいんです。僕としては、スキルの鍛錬をしに来てるだけなので……」
ぶっちゃけ、放っておいて欲しい。どっち道、料理研究部の部活動の内容からすれば僕のスキルとはほぼ関係無い訳だし……接点が無いんだから、最悪
だけど挨拶までするなとはいわない。こっちも一応
「後……今回の成果物を見て貰えばわかると思いますが……今後何か「作って欲しい」ということであれば、一応僕も鑑定スキルを保有してるので……それで最低限の価値も判断できます」
そこまでいうと、
ざわっ……
と色めき立つ。いや、人物鑑定はできないからな? ……まぁ、先生がその辺を説明して騒ぎは収まったけど……ヤレヤレ。
まさか、体重とかスリーサイズを調べられるとか思ったんだろうか? 女子たちはその辺気にするっていうからな……しゃーないか。
・
・
結局、再生した魔導具と化した布袋と手拭いは……女子生徒Aの家に戻ることに。その際、どういう経緯で持ち出して僕の手に渡って修繕と浄化が成されたか……女子生徒Aの家族全員にバレることとなり、こってりと絞られて自主的に謹慎1箇月となったようだ。
家族が厳しいんだろうな……と思ってた所、割と金持ちというか……いい身分の家だったようで。使者を家に……勿論うちね……寄越して、正式な鑑定書とその鑑定書に書かれた代金を持って来たのにはビックリしたよ……
鑑定代金を差し引いた金額だったけど、正式な浄化費用+修繕費用+魔法付与費用……などの手数料を付加した結果……2品で15万円だった筈の報酬が、税抜きで70万6,500円となった……エェー……
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所得税10%として計算していますw オークションに出せば、もっと行くでしょうね……税金も10%じゃ済まないかもだけど。
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