21 アイテムボックスに拘って… その21

 顧問の糧飯かてい先生にエピック級と驚かれる。ちなみに手拭いの方だ……布袋は1つしか付与されてないからアンコモンかなぁー?……と思ってたら、耐久値が驚異の3桁超の上に見た目と中に入る容量に差があって「どー見てもレア級だろ!」……と突っ込まれた。

 容量が倍程度だから、アイテムボックスとは認められないだろうけどね……

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──報酬額(先生の鑑定眼の上で下された額面だけど)──


 僕の鑑定スキル上では……布袋が5万円、手拭いが10万円が妥当だろうという表示。そして先生の鑑定眼(スキルではなく経験上の目分量みたいな感じらしい)では……


「頑丈の布袋だったかしら?」


「あ、はい」


「……そちらは、オークションにでも出せば10万からで上限は……そうね」


 暫く考えた後、


「いいとこ50万円は行くかしら?……参加してる層に依ってはもっと行くかもね?」


「はぁ……」


 これが50万円ねぇ……と思いつつ、最初に渡された時に比べて小綺麗になった布袋を見る甲司こうじ


「次、花香る頑丈の手拭い……だったわね?」


「はい……」


「エピック級相当のこれは……そうね」


 甲司が手にしていた手拭いを手に取り、じ……と見詰め、


「最低でも100万から……下手をすると1000万を超えるかもね?」


「え……そんなに?」


「ええ……富裕層や貴族階級の人間。それも女性なら欲しいと思うわよ?」


 それは物凄く汚れていて刺しゅうの跡もあったが、汚れを落とした時点で全て消え失せてしまった。仕方なく甲司が後付けで刺しゅうを施したのだ。それは意図せずに「清浄付与」となっていたのだが……、これが花の香りを撒き散らす原因となっていた。


 甲司は2つの付与の結果、そうなっていると勘違いしていたが、鑑定スキルがレベルアップすれば、その辺もわかるようになるだろう……


 先生は鑑定結果に追記している。先程いってた内容を書き込んでいるのだろう……



「あら!……修繕は済んだのかしら?」


 勝手に洗浄と修繕を頼んで来た女子生徒Aが家庭科室に入ってくるなりそんな自由気ままで自分勝手な台詞をのたまう。料理研究部部長さんはチラ見するだけで特に何もいわない。今日は日曜の次……月曜日で、現在時刻は部活動活動時間帯である放課後だ。


 依頼された2品は紙袋に入れてそれぞれ入っている。一応、そのまま入れないで更にもう1枚、薄めの紙袋に丁寧に包んで入れてある。依頼票のコピーと、請求書の本票も入れてある。コピーは僕の懐に入れてあるけどね。請求書に書かれた代金を支払って貰ったら、確認の後に領収書を発行する予定だ。勿論学生にしては大金なので、請求書に書いてある口座に振り込みでも構わない。振り込まれた後、振り込みが確認されたら直接領収書を手渡すか、郵送などの手段で送る予定ではある……


ガサガサゴソゴソ……


「できま「早く寄こしなさいよね!」……はぃ」


 という極短いやり取りの後、女子生徒Aは依頼品の2点を紙袋から取り出すと同封してる請求書、その他諸々を見ずにゴミ箱へ3ポイントシュートを決めた……いや、ぐっしゃぐしゃに丸めて投げ捨てたんだけど……


「あの……」


「何よ?」


「鑑定書と請求書が入ってるんだけど?」


「要らないから」


「は?」


「どーせ金取るんでしょ?……この貧乏守銭奴!」


「……先生」


 ガラっとドアを開けて糧飯先生が現れる。ゴミ箱に丸められて捨てられた紙袋を拾いに行き、中から請求書を取り出して女子生徒Aに広げて見せる。


「……何よ。どーせ端金はしたかねの癖……に……な、なななな、なによこの金額っ!?」


 そこには女子生徒Aが思い描いていた金額からは比較にならない金額が書かれていたのだった!


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 ちなみに呪具相当の2品は家の倉庫に仕舞われていたモノだそうで(女子生徒Aの持ち物なのに呪物って……一体何があったんだYO!)……持って来た時も呪具を包む専用の……そちらもくっそ汚れた保護具だったみたいだけど、甲司に渡った時点で力を使い果たしたようで塵となって崩れ去ったそうです……怖っ!

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