20 アイテムボックスに拘って… その20

 所属してる部の顧問の先生が休出で学校に来てるってんでついでに家庭科室の使用許可を貰ってアイテムボックススキルの鍛錬に利用させて貰った匣岬 甲司はこざき こうじ

 ……無論、修繕の案件を優先したけどな?

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──じゃあ、修繕費を請求だっ!──


 ちなみにアイテムボックススキルはレベルアップしていない。流石にレベルが付くと半日くらい鍛錬したくらいじゃ上がらないようだ……。いや、他のユニークじゃないコモンスキルだとそこそこ上がるんだけどな……orz


 見てない隙を突いてアイテムボックススキルを使うって頻度だと難しいんだろうなぁ……



「先生!……ちょっと宜しいですか?」


「はい?……あぁ、彼女の依頼品?」


「はい。僕が直接渡すだけだと、また有耶無耶にされそうなので……その」


 前回は背後から掻っ攫われてロハにしろとまだ作業中なのに強引に取り上げられた上に固定化も済ませてないのにバラけたと文句をいわれたっていうね……だもんで、今度は正式に修繕依頼として依頼票を書いて貰って契約した訳だ。


 糧飯かてい先生の見てる前でね!


※流石に保護者を呼んで来て……とは大袈裟だからそこは省略した



 んで、日曜に休出した時に完成したので、改めて家庭科室を料理研究部が使う日に先生に家庭科室に来て貰うよう要請した訳だ。


「ふぅん……結構綺麗に修繕できたのね?」


「はい。現時点での最高傑作といっても過言ではないと自負しています!」


 布袋に手を入れたり腰に付けてみて使用感の感想を述べる先生。事実、壊れ難く使用感も花丸が付いてもいいとさえ思っている。


「へぇ……いい香りね。香水でも付けたのかしら?」


 手拭いを持って触ったり匂いを嗅いでいる先生。いや……余り他人に納品する物をくんかくんかするのはどうかと……


「いえ、それ……柔軟と頑丈の付与をしたら副次的に付いた能力です」


「……え?」


 これを、と鑑定結果を書き出した紙を渡す甲司。慌てて受け取って読み込む先生。


「……」


「ど、どうですか?」


「甲司くん……だったかしら?」


「え、あ、はい」


「これの修繕費と……付与能力だけど……どう思ってる?」


「書いてある通りなんじゃないんですか?」


 鑑定結果を信じるならば、布袋は5万円で手拭いは10万円だ。合計15万円ならば割のいいバイトとなるだろう……甲司はそう思っていたのだが。


「手拭いや布袋に複数の付与魔法なんて……それこそモンスターベースの……例えばスパイダーシルクなら兎も角、こんな一般製品の布ベースじゃいいとこ1つだけなのよ?」


「え……?」


「レジェンド級……とまではいかないけど、これ……どう低く見積もってもレア以上だろう……ね」


 アイテムや武具にはレアリティ……希少性のランクがある。一般的に普段使いしてるのが……ノーマル。使い古したり雑に扱って能力が落ちるとランクアウトして唯のモノ扱いになるけど……


※修繕を頼まれた布袋と手拭いは、悪意が籠ってたので逆に呪具扱いとなっていた



 次に1ランク上の物が……コモン。何かしら付与されていたり、付与されていなくても高品質な素材で製作されていたり、製作者が一定以上の腕前を持っているとコモンと評されるらしい。


 更に1ランク上の物が……アンコモン。高品質な素材で何かしら付与されている製作物。最低でも頑丈を付与されているとそう評される。使用する上で壊れ難いことは武具であれば必要不可欠なのだから……


 そして……レア。最低でも2つの付与が成された製作物で、耐久値が100や200ではなく……400以上と高い性能を持っていることが前提となる。


「……それ以上はうちの学校では習わないし……まだ必要じゃないでしょ」


 とのたまう先生であるが……


「あの……先生」


「なぁに?」


「この手拭い……結果的にですが付与が3つとなってますが……」


「なっ!?……エ、エピック級!?」


 尚、その更に上はレジェンド級らしい。


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 素材となってる布地は普通の木綿とか麻の混合布なので、そこまで価値が高い訳ではないけど布加工スキルで解して再度布にして再利用してるので全く無価値という訳じゃないよ? 何しろ生産拠点が遠いので古着を再利用するのは当たり前だからね……

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