10 アイテムボックスに拘って… その10
ステータスが生えていた僕氏改め、
いつも通りに
全く……どんな世でも暴力に訴える人間って居なくならないよね……ハァ。
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──追われる者と襲う者──
「ざけんなっ!」
取り敢えず逃げ出す。倒れた雑魚は放置。抱えて走れる程、体力も腕力も無いし……体力筋力共にCってことは……体力や筋力が優秀な人の平均値はある……ってことじゃないと思う。せいぜい、中坊の平均値だろう。
武器はスタンロッドと護身用のスタンバックル……あぁ、ベルトの留め具ね……のみ。魔力が切れたら……余裕があれば魔力充填すりゃいいんだけど……走りながらじゃ無理だろうな。あれって
※静止状態で(立ってるか座ってるかは問わない)魔力充填する対象に触れて……とやる必要がある
「ちっ!……思ったより足が早いな……」
一応、速度Cだからね。平均的な走る速度はある……と思う。追っかけてる連中はスラム街の連中なら、栄養状態がいい訳はないし、その内に脱落してくれると……
びゅっ!
「うわっ!?」
がっ
「痛ぇっ!?」
左肩に何か硬い物が当たった!
こんここん……
落ちる所をチラっと見たけど……
(小石か……頭に当たったらどーすんだっ!?)
「いいぞっ!……殺すつもりで当てていけっ!!」
スラム街少年たちのリーダーらしい中坊が殺しを推奨してくる。流石に殺人は不味いと思ったのか、
「え……人殺しは不味いって……」
「そこまでしなくても気絶させりゃよくね?」
「逃げないように足を徹底的に狙うとか……」
どちらにせよ、僕のアイテムボックスを奪うことに関しては
「ちぃっ!?」
仕方なく、ジグザグに木の間を走って狙いを定まらないように走る。周囲に何も無くても、単純にジグザグに走るだけでも思ったより狙いは甘くなるもんで。
「ちっ!……こらっ!ズルいぞ!!」
狙いが定まらないからか、投げられる小石も散発的になる。
(今だ!)
僕は全力でダッシュして……とうとう町の端っこに辿り着き、適当に曲がり角をクネクネと曲がってって……
「お……覚えてろよーーー!!」
と、負け犬的な捨て台詞を背中で聞きながら……自宅まで逃げ切ったよ。
・
・
「あんたどうしたの?」
「え?」
母親に服の左肩が破けてると突っ込まれたので、取り敢えず居間に移動してから服を脱ぐと……
「あらら……血が出てるわよ?……喧嘩でもしたの?」
と、慌てて救急箱を持ってきて傷の手当ての用意を始める。
「いや……ちょっとぶつけちゃっただけ」
小石を投げつけられた。命の危険があったかも……なんていったら今後、出掛けることを止められるかもだし……不自然にならないように誤魔化しておいた。
「痛つっ」
「はいはい。これくらい我慢なさい?」
と、消毒液をちょんちょんと付けられて……それから
「はい、これでおしまい」
と、医療用のテープを十字に貼り付けられる。
「服はどうする?」
「あ、うん。自分で修繕するから当て布と糸と針、貰える?」
最近、
(まぁ……家の仕事を少しでも手助けしてるから、外出を許可されてるようなもんだしな……)
「はいこれ。少し多めに渡したけど無駄使いはしないのよ?」
とはいえ、肩口に小石が当たって切れてるのだから割と長く縫う必要はある。
(まずは少しだけど滲んだ血を消さないとね……)
洗面所に行って脱いだ上着を水に浸す……あー、傷の手当てを受けた後、もう新しい服に着替えてるよ? 本来なら血を汚れとして抜く為には色々と薬剤を付けてから……とやるそうなんだけどね。
「もう水はいいかな?」
十分に水に浸ってるのを確認した後、
「……
布専用のスキルで、ある程度布に対する結合が緩い液体汚れや、単純に繊維の隙間に入り込んだ細かいゴミなどの汚れを除去できる……
※レベルが上がれば、「プロセス・クロス・クリーン」と一部略しても発動する。最上級レベルで「クリーン」でも発動するが、会得してるのが布加工スキルだけなら当然布系にしか対象にならない
「おお……血液が薄くなっていくな……」
そのまま放置してるとまた付着するので、蛇口から水を流して洗い流す。このスキルの効果時間内であれば、布に汚れと認定された物体は布に付着せずに水に流れてってくれる。ある意味、洗濯機要らずな能力だが……
(1回の行使で対象が1つ限定だからなぁ……)
レベル0未満では練習あるのみらしい……。レベル1以上になれば、複数対象になるらしいけど。
(まぁ、人間クリーニング屋は無理だろうな……)
流石に機械には敵わないらしいし。何より魔力がもたない……。頼まれても、魔力フルでも5つも洗ったら気絶する自身あるよ……。
アイテムボックスの鍛錬と裁縫系と違って魔力消費が半端ないんだよね……。何か基準が違うのかなぁ?
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参照するステータスが違うのかも? キレイキレイにする訳だから、魅力Eの甲司じゃ魔力効率も悪いってオチかも知れない……(苦笑)
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