鏡の中の鏡

縞川きせん

鏡の中の鏡




家に帰ってきて、洗面所で手を洗っていると、鏡の中の私が突然喋り始めた。


なんでも、宇宙人が攻めてきて、鏡の中の私はそれを倒す救世主で。

でも、自分だけでは宇宙人を倒す事は出来ず、私に助けを求めに現れたそうだ。


時間が無いらしく、今すぐ来て欲しいとの事。

宇宙人に精神を乗っ取られた校長先生が、生徒を人質に取って学校に立て籠もっているらしい。



ちょうどこの後、ゲームをしようとしていたところ。

そちらの方が何倍も楽しそうだ。


私は鏡の中の私の手を取り、鏡の中に入っていった。



一見こちらと変わらない世界。

けれど、家で飼っている猫のテトが、対宇宙人の武器を作る天才科学者。

王子みたいで学校のアイドルだった大和先輩が、本当に地球の王子。

宇宙人の外見がコアラそっくりで、乗っ取られた校長先生は、腕にコアラを巻き付けながらこちらを威嚇。



学校の廊下の壁に掛けてある鏡の横を通り過ぎる時、誰かに呼ばれた気がして足を止めると、また別の鏡の中の私が助けて欲しいと言ってきた話は、今度時間のある時に話そうかな。





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鏡の中の鏡 縞川きせん @kisenshimakawa

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