Episode.2「We must find that」
「……こういう訳で、もしかしたら妹さんがいるのかなって思ったんだ」
僕は、いま考えた内容を、出来るだけ
「へぇ、なんかあれみたいだな。あの、えっと……」
「ホームズ。ホームズみたいね」
考える
「シャーロック・ホームズ。その人を
声の方に目をやる。切りそろえられた前髪に
急に女子が話しかけてくるなんて、とも思ったが、今は入学式の後だ。みんなが友達作りに
普段であれば話しかけないような人に積極的に話しかけても、変な空気にならない
もしくは、単純にコミュニケーション力に
「ね、ほたる君だよね。私はフユクサリン。冬の草に『
不思議な人だな。彼女の
この人、冬草さんはいかにも真面目そうだ。そして、ふつう真面目な人は僕みたいなのと関わろうとしない。ましてや興味をもって関わってくることはない。ホームズだって、レストレード以外の警察には嫌われていたじゃないか。
にも関わらず、この
「うーん。いま分かるのは、冬草さんは何かを秘密にしているってことだけかな」
「何よそれ」
「女子には弱いのか!」
――あれ、僕はいま溶け込めているのだろうか。というか、受け入れられているのだろうか。
中学生活からはおおよそ考えられない状況に、僕は少し困惑した。気がつけば、クラス全体が楽しそうに僕ら3人を見守っている。
――この高校に来て、正解だったかもしれない。
僕がなんとなくそう思っていると、彼女、
「あ、それで、あなたたちに話しかけた理由だけどね。部活のことなの。
「え、マジ? この高校に来て失敗だったかも」
「それならさ」
僕は口を開いた。
「僕らで適当な部活を作っちゃうのはどうかな。先輩がいなければ、休んでも怒られないだろうしさ」
そういう訳で、僕の高校生活は意外にも
「部活を作るなら、私も嬉しいかも。私、生徒会に入るの。でも部活もやらなきゃいけない。ちょうどよくサボれる部活を探してたのよ」
「生徒会って、選挙とかするんじゃないの?」
「あら、一年生は入学試験の
「え、そうなんだ」僕と
「私は1番だったから。自慢じゃないけど1番だったから、生徒会に入れるの。1番だからね」
「自慢でしかねぇよ」笑いながら
「そういうことだから、出来るだけ活動が少ない部活がいいわ。ゼロから作るってことを考えると、設備も費用も必要ない部活を作れれば、より嬉しいと思うんだけど」
「しかも、今ある部活と
「新聞部とかがいいんじゃないかな」僕はおもむろに口を開き、続けた。
「新聞部ならまだこの高校にないし、パソコンで文章を書いて印刷するだけだから設備も必要ないよ。一か月に一回発行すればいいから活動も少ないし、提出しなきゃならない
「そういえば、みんなが生徒会での議論に興味を持ってくれないって生徒会長が
すごいな。入学式から数日しか
「俺のバイト先も人手が足りないって言ってたぞ。新聞でバイトの
こっちもすごい。いくらなんでも、こんなに早く彼がアルバイトを始めるとは思っていなかった。
「あなたのバイト先、まるで
「そういうわけだから」僕は
「新聞部ってことにしよう。とりあえずは、そういう方向性で」
「でも、部活動を作るには最低5人必要よ。5人の部員がいて、かつ
「あと二人だな」
話がまとまりかけたとき、クラスの
「つまりね、オカルト研究部はこの高校に実在するんだよ。でも、なにせオカルトを研究する部活だから、その存在自体もオカルトで、簡単には見つけられないし入れないんだよね。だからこそ、それを見つけるんだよ! そうすれば、あの謎も解けるかもしれない!」
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