面倒見のいいマンション管理人が、宇宙ステーションにいる

 マンション管理人の仕事は、実に大変だ。


 マンションの住人同士が安心して暮らせるようにするのが仕事だ。


 マンションの点検、清掃、業者による設備点検の立ち合いなど当たり前だ。


 自分の受け持ちのマンションに、優秀な大学の先生が事務所を借りている。


 礼儀正しい人で、時々挨拶するのだが今日はいつになく渋い顔をしていた。


「あの、大丈夫ですか? ずいぶん悩んておられますね」


 マンションのトラブルになるかもしれない、クレーマーみたいな住人だったら見なかったことにするんだが、この人は私にも優しいので声をかけた。


「う、うん。人が見つからなくてね」

「へぇー、誰ですか? さぞや高い技術が必要な人物なんでしょうね」

「まあ、技術って言えば、技術かな?」


「資格とかいるんですか?」

「いや、いらない」

「へぇー。そうなんですか?」

「んー」

 その大学の先生は、私の顔をマジマジと見つめてきた。


「あ、あの。何です?」

(トラブルは、困るなー)


「よし、君に決めよう。君の会社、いつののマンションの案内に書いてある住所だったよね?」

「え? そうですけど。 え?」


 先生は僕の方を肩をポンポンと叩きながら、こう言った。


「大丈夫、大丈夫。 宇宙ステーションもマンションも一緒だからー」


 会社は、高額な依頼料と会社の知名度が上がると言うことで二つ返事でOKした。



 翌月。


 ロシアのロケットで、宇宙ステーションに到着していた。




 俺、無事に帰れるのかな?

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