第41話 王女様からのお願い 1
女王陛下からの褒美としてお金と家を受け取った。
家に関しては後日、紹介してくれるとのこと。
「カミト様、次は国民の皆様へ挨拶ですわ」
そう言ってリーシャ様が話しかけてくる。
「わかりました。それでコチラの女の子は?」
俺はリーシャ様に返答すると、リーシャ様の隣にいる女の子に目を向ける。
リーシャ様に似てとても可愛い女の子なので、おおよそ検討はついている。
「あ、ご紹介しますわ。コチラが私の妹『レオノーラ•ヴェール』ですわ」
「初めまして、カミト様。私、この国の第二王女であるレオノーラ•ヴェールです。カミト様のご活躍はメル様からお聞きしてます」
「よろしくお願いします、レオノーラ様」
綺麗な所作で俺に挨拶をするレオノーラ様。
リーシャ様と同じ金髪をツインテールにしており、年齢は15歳。
商人系のレアスキルを持っているため、商人を育成する学校に通っており、将来は国の経営に携わるとのこと。
「国民の皆様への挨拶まで少し時間があります。わたくし達と一緒にお話をしませんか?」
「私もカミト様のお話が聞きたいです!」
「いいですよ。面白い話を提供できる自信はありませんが」
「ありがとうございます」
「メル様もご一緒にいかがでしょうか?」
「そうね。暇だから私もカミトのお話を聞こうかしら」
ということで、俺が国民へ挨拶するまでの間、メルさんとリーシャ様、レオノーラ様の4人でお話をすることとなる。
俺たちは先程メルさんと一緒に待機していた部屋へ移動し、談笑を始める。
「すごいです!やはりカミト様はカッコいいです!」
「レオノーラの言う通りですわ!ブラックドラゴンを無傷で倒すなんてさすがですわ!」
「へぇ、すごいわね。私でさえブラックドラゴンを無傷で倒すのは難しいわよ」
俺がブラックドラゴンを無傷で倒したことを話すと、リーシャ様とレオノーラ様が興奮気味で褒め、メルさんからは感心される。
「あはは、たまたまですよ。あの時はソラさんを守ろうと必死だったので」
素直に褒められることが少ない俺は照れながら返答する。
「ブラックドラゴンを無傷で討伐したことに加えて、黒い騎士を1人で討伐したことも素晴らしいです!」
「メル様の話によれば、先日攻略した30階のボスは圧倒的な強さを誇っていたとお聞きしてますわ!それをカミト様1人で倒したなんて!」
「そうよ。私は黒の騎士からの攻撃で気絶してたけど、カミトは気絶してた私を守るように戦ってくれたわ。大怪我を負ってまでね」
「当然です!女の子であるメルさんに怪我をさせるなんて男として恥ずかしいことなので!」
「そ、そう……その……守ってくれてありがと」
「いえいえ!」
少し頬を染めつつ、何度も聞いた言葉を口にするメルさん。
「さすがです!カミト様は大切な人を決して見捨てない、素晴らしい方です!」
「そんなカミト様のこと、わたくし達はとても気に入っておりますわ!」
「あ、ありがとうございます……」
今日初めて会ったにも関わらず好感度が爆上がりしてる俺。
(メルさん、2人になんて言ったんですか……)
そんなことを思う。
そのため、俺はリーシャ様とレオノーラ様に問いかける。
「あの…リーシャ様。それにレオノーラ様。お二人は俺のことを信頼しすぎではないですか?メルさんから俺の話を聞いただけですよね?」
「はい。わたくし達は今日初めてカミト様と出会いました。だから不思議に思われるのも当然ですわ」
「でも、私たちはカミト様を信頼しております。理由はリーシャお姉様が信頼できる人物と判断したからです」
「……?」
その返答に首を傾げる。
「わたくし、他人の心の色を見ることで、その人の善悪を簡単に知ることができるスキルを持ってますわ。そして、今日初めて会った時にコッソリと調べさせていただきましたわ」
「勝手にスキルを使って申し訳ありませんわ」と頭を下げるリーシャ様。
「あ、頭を上げてください!そんなことで怒ったりしませんから!」
実際、俺もコッソリ賢者さんを使って鑑定してるから、この場で怒ることはできない。
「ありがとうございます」
そう言って頭を上げたリーシャ様は話を続ける。
「カミト様の心は綺麗な色をしてましたわ。だからカミト様は信頼できると判断しましたわ」
「男嫌いであるメル様が心を開くことのできる方なので、悪い方とは思ってませんでしたが」
「な、なるほど……」
2人の話を聞いて、初対面なのに俺への好感度が高いことに納得する。
すると、リーシャ様の表情が引き締まる。
「カミト様、お願いがあります」
「な、なんでしょうか?」
リーシャ様からただならぬ雰囲気を感じ、俺は表情を引き締める。
「代々、王都を治めているのは『ヴェール家』ですわ。しかし、お父様が亡くなったことで、ヴェール家の血筋を引き継いでいるのは、わたくしとレオノーラだけになりましたわ」
亡くなった国王陛下は短命でレオノーラ様が産まれてすぐに亡くなったとのこと。
もともと、ヴェール家の血を引き継いでいる人は少なく、不慮な事故や病気が重なり、一時期、ヴェール家の血を引き継いでいるのがリーシャ様達のお父様だけになってしまった。
そして、十数年前に国王陛下が亡くなったことで、ついにヴェール家の血を引き継いでいるのが2人だけになってしまったらしい。
「わたくし達は一刻も早く結婚して子供を産まなければいけません。ヴェール家の血筋を途絶えさせるわけにはいきませんので」
「2人の事情は分かったけど、なぜそんな話を俺にしたんですか?」
「はい。なぜわたくしがカミト様にこのような話をしたのかというと、カミト様にはわたくしとレオノーラ、2人と近いうちに結婚していただきたいからです」
「ふむふむ……はぁ!?」
「わたくし達はカミト様の子供を産みたいのです!」
リーシャ様からの爆弾発言に俺は固まる。
メルさんも俺と同様に固まっていた。
「私たち……ぐずっ……特に期限の迫っているリーシャお姉様にはカミト様との結婚しか道はありません!どうか、リーシャお姉様とは今すぐ結婚してください!お願いします!カミト様っ!」
すると突然、涙を流しながらレオノーラ様が言う。
(………え、どゆこと?)
真剣にお願いするリーシャ様と、泣きながらお願いするレオノーラ様を見て困惑する俺だった。
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