第34話 S級ダンジョンの攻略 5
ということで、俺たちは迷うことなく報酬部屋へと繋がるワープゾーンへと踏み込む。
予想通り、目の前には宝箱があった。
「私もレッドドラゴンを倒した時にこの部屋に来たわ。そして、その時ゲットした装備がこのローブと靴よ」
そう言ってメルさんが【深紅のローブ】と【深紅の靴】を俺に見せる。
「へー、メルさんの装備はレッドドラゴンを倒した時にゲットしたんですね」
『深紅』という単語とステータスの上昇値から、レッドドラゴン討伐によって得た装備ではないかと思っていたが、想像通りだったようだ。
そんな話をしつつ、メルさんが宝箱を開封する。
「おぉ。短剣が2本出てきましたね」
そこには真っ赤な短剣が2本出てきた。
俺は賢者さんにお願いし、鑑定してもらう。
ーーーーー
【深紅の双剣】
レッドドラゴンの鱗から作られた深紅の双剣。軽くて丈夫な材質でできており、刃こぼれすることはない。また、全ステータスが1,500上昇する。ただし、2本一緒に装備しないと効果は発揮されない。
ーーーーー
俺の装備には劣るが、なかなか強力な武器が現れる。
「双剣ですか。俺は【純黒の長剣】があるので使いませんね。メルさんは要りますか?」
「私も要らないのだけど……カミトが要らないのだったらセリアにあげてもいい?」
「セリアさんにですか?」
「えぇ。セリアのメイン装備は短剣2本を駆使した攻撃なの。だからセリアにピッタリの装備になると思うわ」
おそらくメルさんも【鑑定 Lv.2】を使って効果を把握したんだろう。
「いいですよ。俺は必要ないので」
「ありがと」
そう言ってメルさんが【深紅の双剣】をカバンに入れる。
その間、俺はレッドドラゴンとの戦いで上昇したステータスを確認する。
*****
名前:カミト•ヴィオレ
年齢:18
レベル:2722(462up!)
筋力:26469(1764up!)
器用:26442(1756up!)
耐久:26427(1749up!)
俊敏:26466(1778up!)
魔力:26370(1736up!)
知力:26520(1788up!)
スキル:【剣聖】
【賢者の眼】
称号:〈ジャイアントキリング Lv.4〉
〈無傷の冒険者 Lv.5〉
〈少数精鋭 Lv.1〉(New!)
装備:純黒の長剣(全ステータス2,462上昇)
純黒のコート(全ステータス2,462上昇)
純黒の靴(全ステータス2,462上昇)
*****
ーーーーー
〈少数精鋭 Lv.1〉
レベル差が1,000以上の状態で格上のモンスターを3人以下のパーティーで倒すと獲得できる称号。
称号保持者のレベルよりもレベルが上のモンスターを3人以下の状態で相手にする時、3人の全ステータスが1,000上昇する。また、1人で戦う時も発動する。
ーーーーー
(なるほど。化け物にまた一歩近づいたか)
そんなステータスが現れる。
(てか〈無傷の冒険者 Lv.5〉の効果ヤバくね?この称号の効果は『俺がレベルアップした時、装備している武器や防具の性能もアップする』って効果なんだが……まさか上がったレベル分がステータスに反映されるなんて……)
今回、俺のレベルが462ほど上昇したため、装備していた装備品全てのステータスが462も上昇している。
そのことに絶句していると、メルさんから話しかけられる。
「どうする?このまま探索を続けてもいいけど、帰ってもいいわよ?」
メルさんがワープゾーンと階段を見て俺に問いかける。
「俺はまだまだ行けます」
「私も行けるわ」
ということで、俺たちは26階層へと進んだ。
26階層に到着する。
以前、メルさんがレッドドラゴンを倒した後に26階層へ来たらしいが、その時はレッドドラゴン戦でダメージを受けた状態に加え、A級上位モンスターの数が増えたことで撤退したとのこと。
「今回はカミトくんのおかげで無傷でここに来れたわ。だから30階までは行けそうね」
「油断はできませんが、最高の状態で26階にたどり着けましたね」
そんな会話をして、気を引き締めつつ賢者さんの指示に従う。
しかし、メルさんが言った通り21階〜25階と比べ、敵の出現が多く、賢者さんに従ってもバトルを避けられないケースが増える。
「メルさん!」
「任せて!アイスソード!」
「グァァァっ!」
メルさんの攻撃がA級モンスターであるミノタウロスを貫通し、魔石へと変える。
「はぁ…はぁ…」
「さすがに多いですね。少し休憩しましょう」
俺は肩で息をしているメルさんに声をかけ、その場に腰掛ける。
もちろん、この場が安全エリアというわけではないので、賢者さんにモンスターの動向をチェックしてもらう。
「ありがと、カミト」
「いえいえ。レッドドラゴンを倒してから休憩なく28階まで来ましたから」
現在、俺たちは28階層まで来ており、あと2階層で最下層となるところまで探索した。
「予想以上に多いわね。おかげでレベルは上がる一方だけど」
「嬉しいですが、最下層のボスにたどり着く前に体力切れしそうですね」
俺はステータスがメルさんより高いことから疲れはあまり感じていないが、メルさんは肩で息をしていることが増えている。
「そういえば、この世界でS級ダンジョンを攻略した事例ってあるんですか?」
「ないわね。帝都にS級冒険者が2人常駐してるけど、S級ダンジョンの希少性から、2人が手を組んで攻略したという話しは聞いてないわ」
「つまり俺たちが攻略すれば世界初の出来事になるんですね」
(となると、世界で初めてS級ダンジョンを攻略したことで称号を手に入れることができるかもしれないぞ)
そんなことを思う。
「さて、そろそろ行くわよ」
「もう休憩は大丈夫ですか?」
「えぇ。これ以上、休憩するわけにはいかないもの」
そう言ってメルさんが立ち上がる。
その後、体力の回復したメルさんのおかげでスムーズに探索が進む。
そして、30階層にある一際大きな扉の前にたどり着く。
お互い大きな怪我をすることなくここまでたどり着き、体力も問題はない。
「ここがこのダンジョンのボス部屋ね」
メルさんが緊張感を持って話す。
「カミト、準備はできてる?」
「はい!準備万端です!」
「じゃあ行くわよ!」
メルさんが気合の入った声とともに扉を開けた。
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