第15話 vsブラックドラゴン 1
俺は迷うことなく隠し通路へ入り、【賢者の眼】によるマップを使用して最短ルートでブラックドラゴンへ向かう。
「賢者さん!女の子はまだ生きてる!?」
『解、まだ生きております』
その言葉に安心しつつも俺はスピードを上げる。
「見えたっ!ドラゴンだ!」
そして通路の先にいるドラゴンを視界に捉える。
「賢者さん!女の子はどこだ!?」
『解、ドラゴンの真下です』
「ヤバいやんっ!」
俺は全速力で駆けつける。
すると、地面に倒れている女の子と、その女の子に鉤爪でトドメを刺そうとしているドラゴンが見えた。
「間に合えぇぇぇ!!!」
“ドゴッ!”
ドラゴンの鉤爪による攻撃で地面にクレーターが発生する。
ドラゴンは手応えがなかったことに違和感を感じたようで、周囲を見回す。
「ふぅ、間に合った。君、大丈夫?」
ドラゴンに攻撃されそうになった瞬間、地面に倒れていた女の子を一瞬で助けた俺は、腕の中で目をつぶっている女の子に優しく話しかける。
「ふぇっ?あ、あれ?私、生きてる?」
「あぁ、生きてるぞ。よく頑張ったな。ここから先は休んでていいぞ」
俺の言葉で安心したのか…
「うぅ……うわぁぁぁぁんっ!怖かったっ!死んだと思ったよぉ!!」
「あぁ、安心しろ。俺が来たからには君が死ぬことはないよ」
ドラゴンは俺の登場で困惑しているのか、俺たちを眺めるだけで攻撃してこない。
それなら好都合だと思い、お姫様抱っこしている女の子を、戦いの邪魔にならない場所へ降ろす。
その際、少し余裕が生まれたため、女の子の容姿を確認する。
(待って、すごい美少女やん)
童顔で可愛らしい顔の美少女で、俺と同い年か年下の女の子。
胸は小さいものの、水色の髪を肩の辺りで切り揃えた綺麗な髪と、可愛らしい顔に目を奪われる。
ドラゴンの攻撃で顔や腕に傷が見られ、服は汚れているが、顔立ちは整っており、街中で見かければ10人中10人は見惚れてしまうくらいの可愛さだ。
未だに涙を流している女の子を安心させるため、俺は綺麗な水色の髪に手を置く。
「あっ……」
そして、いつもクレアにやってるように優しく頭を撫でる。
「俺は君を守るために来たんだ。だから安心してここで休んでて。俺は君を助けるまで死なないから」
「う、うん。その……助けてくれてありがとうございます」
「それは俺がドラゴンを倒した後に言ってくれると嬉しいな」
俺は笑顔で女の子に言い、ドラゴンの方を向く。
そしてボロい短剣を取り出して固まる。
「なぁ、賢者さん。この装備じゃドラゴンには勝てないよな?」
『解、当たり前です。バカなのですか?』
「一言余計だ!」
俺は賢者さんにツッコミつつ、再度女の子の方を向き直す。
そして…
「お願いします!君の剣を貸してください!」
全力でお願いした。
「ふふっ、あはははっ!」
俺の様子がおかしかったのか、女の子は涙を流しながら大声で笑う。
「今、ものすごくカッコよかったんですから、ビシっとしてくださいよ!」
「うん、俺もそのことに気づいてるから言わないでほしいな」
女の子が涙を拭いながら腰にぶら下げている剣を貸してくれる。
「私は主に魔法で戦ってたので予備として持ってた剣を使ってください。その使い古された剣よりかは使えると思いますので」
「ありがと」
俺は女の子に感謝を伝え、剣を受け取り、ドラゴンの方を向き直す。
「待たせたな、ドラゴン。ここからは選手交代だ」
「グォォォッ!!!」
俺の言葉を理解できたのか、ドラゴンが咆哮する。
その間、俺は心の中で「鑑定」と呟き、ドラゴンの能力を把握する。
*****
名前:ブラックドラゴン
レベル:5000
筋力:15000
器用:15000
耐久:15000
俊敏:15000
魔力:15000
知力:15000
スキル:【硬化】
【竜の息吹】
【竜の鉤爪】
【威圧】
装備:なし
*****
「ステータス値は全てにおいてB級モンスターであるオーガの15倍か。それに対して俺のステータスは…」
*****
名前:カミト•ヴィオレ
年齢:18
レベル:40(7up!)
筋力:12592(18up!)
器用:12088(18up!)
耐久:12095(17up!)
俊敏:12096(18up!)
魔力:12079(15up!)
知力:12102(19up!)
スキル:【剣聖】
【賢者の眼】
称号:なし
装備:最高級の長剣(筋力:500上昇)
ボロい服
ボロい靴
*****
「S級モンスターと同じくらいのステータスである自分に驚きを隠せないが、やはりステータスに差があるか」
決闘前に金貨2枚分のオーガの討伐と、今日も数十体ほどモンスターを倒したため、以前よりもステータスが上昇している。
それに加え、女の子から借りた長剣でステータス補正もかかっているが、ドラゴンと比べるとステータス的に心許ない。
「だが、思っていたよりもステータスに差がない。これなら、カインの記憶を有効に使えば問題ないぞ。しかも、俺には賢者さんがいる」
俺が貰ったカインの記憶にはドラゴンを数十体相手にして全てのドラゴンを討伐した記憶があるため、そのアドバンテージを活かして戦うことができる。
しかも賢者さん付きだ。
そのため、俺はビビることなくドラゴンを見据える。
「さて、討伐開始だ!」
俺は気合を入れるために、大きな声を出した。
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