第7話
◽︎◇◽︎
彼はわたくしの思った通り、ダンスホールの中央で事を成すようだった。
このダンスホールは王家主催の夜会でよく使われる会場だから、中央部分になるに従ってわたくしには動きやすい場所となる。だから、彼にエスコートしてもらわなくても1人でどうにか歩いて辿り着くことができたのだ。
レオンさまの正面に立って扇子を口元に当てているわたくしの態度に、レオンさまは何もおっしゃらないし、どうでもよさそうに虚空を見ている。わたくしは最後の最後でもいいから、ほんの少しでもわたくしの方を見て欲しかったと思いながら、悪役令嬢のお役目の時間を待とうすることにする。
「………はぁー………………、」
「エリザベート・ラ・ツェリーナ伯爵令嬢!貴様その態度はなんなんだ!」
レオンさまの側近の1人の叫びに、溜め息を引っ込めたわたくしは首を軽く傾げて見せる。周囲の側近の態度も似たようなもので、わたくしはものすごく悲しくなってしまったが、多分周囲には不機嫌そうにしか見えていないのだろう。
「じゃあ、逆にお聞きするけれど、あなたのその態度はなあに?あなた、わたくしよりも偉いの?」
「は?」
「あなたは侯爵家の次男坊だから、普通に考えればわたくしよりも上の地位にある。けれど、わたくしの実家は外交をメインに活動している伯爵家であり、わたくしはあなた方の主人たる王太子殿下の婚約者」
扇子を閉じて口に当てたわたくしは、嘲笑うように口角を上げた。
「あなたとわたくし、この場で偉いのはどっち?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます