第6話

 彼女が現れて、わたくしの生活は全て段々と変わっていった。

 隻眼のわたくしでは難しいことも多く、レオンさまの補助がいつしか無くなってしまったことにより実質教室の中の自分の席からほとんど動けなくなってしまった。

 勝手知ったる場所ならば1人で動けるわたくしだけれど、それ以外の場所では家族かレオンさまのエスコートがなければ、わたくしは動けない。そんな自分が惨めになって、わたくしは王太子妃の仕事を理由にあまり学園に寄り付かなくなった。多分それが理由でレオンさまと段々疎遠になってしまったのだけれど、そんなことはもう後の祭り。


 わたくしは彼を解放してあげるために、断罪されなければならない。


 伯爵家の娘という低い地位の娘であったとしても、わたくしのお父さまは王宮内で公爵家と同等レベルの権力を有している。下手を打ってしまえば、レオンさまとて無傷では済まなくなってしまう。だから、わたくしは全ての泥を被る。わたくしが悪いことをしたわけではないけれど、なんだか彼が不憫で仕方なくて、わたくしは泥を被ることにしてしまった。ここ数年で彼に恋をして絆されてしまったというのもある。


 彼が送ってくれた鮮やかな青と淡い青のシンプルなマーメイドラインのドレスを着せてもらったわたくしは、白銀の髪は前髪の左半分だけを瞳を隠すようにおろし、横髪を編み込みにしてカチューシャを作ってもらい、彼にもらった扇子を武器に王立学園の卒業パーティーが行われるダンスホールへと向かう。


 わたくしの覚悟はすでに決まっている。

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