第4話
次にわたくしが目を覚ましたのは王宮の客室の1つで、1週間という月日が流れていた。
その間にわたくしは前世の記憶を綺麗に思い出していた。元々記憶がないだけでわたくしの性格はそのまま前世のわたくしだったから、そこまで齟齬も生まれなかった。
王宮のベッドで目覚めた時にはわたくしの左目はゲーム通りに失われ、見える世界は半分になっていた。
目覚めてすぐにドレスに着せ替えられたわたくしは泣いている両親と共に王宮の客室へと向かうことになり、そこで国王陛下と王妃陛下、そしてレオンハルト王太子殿下と再び対面することになった。ただただ頭を下げ続ける国王陛下と王妃陛下にわたくしはあわあわとただただ慌てていた気がする。
でも、思考は案外しっかりと回っていてこの時のわたくしは、隻眼になり王妃を勤めることが難しくなったからという理由で婚約破棄を願い出た。国王陛下はそのことに渋りながらも頷いてくださり、話はまとまるはずだった。
なのに………、
「きゃっ!!」
帰る間際立ちあがろうとして隻眼になったことで平衡感覚を失ったわたくしは転んでしまった。
無惨に転んで、起き上がることすらできなかった。
「………エリザベート嬢はなぜ転んだんだ?」
レオンハルト王太子殿下があり得ないと言いたげな声でに問いかけたことに、お父さまは冷静に冷徹に返答した。
「あなたのせいですよ。人間は2つの瞳で世界を映すことによって物を立体として捉えている。それが1つになれば………、何を意味するか神童と名高いあなたならば分かるでしょう。あなたを庇ったせいで、この子は傷物になり、普通の生活を送ることすらも難しくなった。分かったのならば、………………もうこの子とは関わらないでいただきたい」
お父さまのあまりの剣幕に、わたくしは背筋が凍りついて震え上がってしまった。
そんな恐ろしいお父さまを前にして、レオンハルト王太子殿下は不敵に微笑んだ。
「それは無理な話だ。彼女は僕のお嫁さんになるのだから」
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