閑話 戻れない女達、斜里佳留子
閑話二回挟みます。
先ずは斜里さん。
~~~~~~~~~~~~~~~
「また写真を書き換えられてる...」
仕事が終わり、馴染みのカフェでパソコンを確認する。
すると昨日スレに上げた亮二の写真が全くの別人にすり変わっていた。
一体誰の仕業なのか?
最初の頃は混乱したが、最近になって犯人は大体想像が出来ていた。
「...嗣和紗央莉」
亮二の元カノの仕業に間違いない。
コイツの特技はパソコン操作。
亮二と付き合う前だった五年前、いつも聞いていたから間違いない。
『アイツの技術は凄いんだ。
そんじょそこらのエンジニアより紗央莉の方が遥かに優秀でね』
いつも自慢気に亮二は言っていた。
当時高校一年だった亮二、私は大学一年で、カフェのバイトに入った彼の教育係だった。
妹と彼女のプレゼントを買うために亮二はバイトを始めたそうだ。
地域で一番の進学校に通い、イケメンで、物腰も柔らかく、亮二を目当ての女性客が連日店に押し掛けていた。
バイトの休憩時間、私は色んな話を亮二とした。
勉強の事、私の大学生活、そして恋の話...
当時、私は一年前から付き合っていた恋人がいたので、お姉さん気取りで亮二の相談に乗っていたのだ。
最初は特に亮二を意識する事は無かったと思う。
あくまで弟と接する感覚、亮二の話す紗央莉との話に嫉妬も感じなかった。
『もう亮二は一年前に彼女とセックスしたんだ?』
『まあ、時間が掛かりましたが』
『お互い初めてだったんだろ?
そりゃ当たり前だ』
ある日、亮二が男性バイトの先輩と話ている所を盗み聞きしてしまった。
一年前という事は、亮二は中学三年の時、少し早い様に思ったが、私も高校二年で前の彼氏と初体験を済ませていたので、その事をとやかく言うつもりは無かったし、男同士で話ているから、見栄を張ってるとも考えた。
『...青いわね』
私はそんな事を考えていた。
彼氏とのセックスに不満は無かったが、特に填まる程の物ではない。
同じ大学に通い、ルームシェアをしていた緩衣も恋人が居るのに、こっそり隠れて沢山の男達とセックスを楽しんでいたが、私には理解が出来なかった。
『バレなきゃ良いの、貴女も亮二君を食べちゃいなよ』
『そんな事しないわ』
緩衣の言葉を軽く流した。
下心が無かったかと聞かれたら、嘘になるかもしれないが、彼氏にも悪いし、そこまでセックスに価値が有るとも思えなかったのだ。
そんな私の人生が激変したのは20歳の時だった。
亮二の恋人、紗央莉が親の転勤で海外に行ってしまい、二人は遠距離恋愛に。
休憩時間の合間、亮二はいつもラインを紗央莉へ送っていた。
イベント毎、プレゼントを海外の紗央莉に送っていたが、日が経つにつれ、亮二は元気が無くなっていった。
『どうしたの?』
『紗央...恋人が最近素っ気なくって』
悲しそうに亮二が俯いた。
話を聞くと、半年程前から紗央莉は亮二のラインを既読無視したり、イベントのプレゼントも疎かになっていると。
『俺...どうしたら』
『そうね....』
悲しそうな亮二に、言葉が見つからない。
素っ気ない態度を取り始めた彼女、私にも経験があった。
それはどう考えても、恋愛の終わりだ。
『...クリスマスプレゼントを送ってみたら?』
『クリスマスプレゼントですか?』
『そうよ、恋人には特別な日。
それで何も無いようなら、彼女はきっと』
『...分かりました』
亮二は私に頷いた。
そして迎えたクリスマス、私は恋人と楽しい時間を過ごす筈が、その1ヶ月前に彼氏は隠れて合コンへ行っていた事が分かり、バレると土下座で謝っていたが、許せずクリスマスの予定は全てキャンセル。
連絡も断ち、不満が高まっていた。
『斜里さんダメでした』
『...そう』
『アイツからはクリスマスカードだけ、プレゼントのお礼も[ありがとう]だけで...』
亮二は悲しそうに紗央莉から来たラインを私に見せた。
『亮二はどうするの?』
『...別れようかな』
初めて亮二は紗央莉との決別を口にした。
苦悶に満ちた表情、私は思わず亮二に言った。
『直ぐに別れなさい。安心して、私は亮二が好きよ』
『斜里さん...』
『頑張って』
『はい』
越えては行けない壁を遂に...
こうして亮二は紗央莉と別れたのだった。
『偉いわ、よく頑張ったね』
『色々ありがとうございました』
スッキリした顔の亮二、私は思わず彼の手を握ってしまった。
『...え?』
『今日のバイトが終わったら、私の部屋に来ない?』
『彼氏に誤解されたら不味いです、それに友達と同居してるでしょ?』
亮二は躊躇いながら首を振った。
『彼氏とは別れたの、今日は
『...はい』
私は悪魔に魂を売り渡した。
彼氏だって浮気をしたんだ、緩衣が居ない部屋で寂しさを埋め合いたかった。
『...嘘』
『どうしました?』
食事の後、初めて見る亮二の
それは今まで見た事も無い大きさと、狂暴な形をしていた。
『大丈夫ですよ』
『は?いや...ちょっと』
手慣れたキス、怯む私の恐怖が緩む。
亮二はそっと抱き寄せる、完全に主導権は移っていた。
『アァァァ!!』
そして凄まじい亮二のテクニック。
何度も絶頂を繰り返し、完全に私は脱力してしまった。
『行きますね』
『....
引き返せなくなる、もう戻れない。
抵抗虚しく....更に気絶まで。
こうして私は亮二に堕ちたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます