大炎上する彼女と秘密な俺と
結局あの動画は投稿されていた。
まあテーマパークを貸し切るレベルの準備だ。余程のことが無い限り投稿する予定だったのだろう。
テーマパークに休みがあることを知らなかった俺もだが、わざわざエキストラまで用意してくる彼女も彼女だ。
まあ、投稿されたのは最悪良い。
ただ、そのあとの視聴者の反応だ。
「いや、そりゃそうよ。彼氏がいることバラす勇気がエグすぎる」
彼女は近年稀にみる大炎上をしていた。
彼女の簡単な説明をすると
・元はゲーム実況を主にしていた
・顔バレしたが、顔がよかったので人気がでたうえ、最近ではリアル系の動画もちょこちょこ取っていた
・登録者も75万人を超えた頃に彼氏にドッキリを仕掛けてその動画を投稿
「うん、バカでも炎上するって分かる」
まあ、投稿して欲しくないと言っていたが、結局許したのには投稿を理由がある。
ネット上での執拗なストーカー被害が原因だ。
まあ、ネットで活動している以上そういうのはある程度仕方ないと切り捨てるしかないのだが、最近は度が過ぎているうえ更にはリアルでもちょくちょくストーカー被害を受けているとのこと。
なのでいっそのこと彼氏がいることを公表してプライベート中に会うこともできるようにすれば、厄介なファンからのストーカー被害も減るとの考えらしい。
まあ確かに、それなら虫除け彼氏みたいな役割は果たせるのだが...
「ファンの神経逆撫でして逆効果だよな やっぱり...まあこうなるだろうと予想はしておりましたが」
結果的には大炎上したうえに、SNSの反応を見る限り俺のことを-すだのなんだの...
恐らくこれは虫除けではどうにも出来ない状態である。相手がそもそも虫じゃないパターンだ。
「どちらかというと俺の方がヤバい。本気で人生が終わってしまう」
しかも、動画の内容も内容だ。
観覧車に隠しカメラもあったらしく、俺が漏らしそうになってる所が全国に知れ渡ってる上に変なタイミングのプロポーズもしっかり使われていた。
ネットの掲示板ではオシッコを漏らしそうにになりながら告白する残念な男としてオモチャにされていたり、コメント欄やSNSでは笑いものになっていた。
動画の内容自体は漏れそうになった俺が面白いのもあってとても笑えるので純粋に楽しんでいるファンもいるのが救いだが、どうやっても炎上は収まらないだろう。
「うーん、もうお外歩けないねえ...ついでに大学やめるか...」
まあ、普段は大学生とかほざきつつ大学自体にはほぼ行ってなかった。
普段は家に引きこもるだめなニートです。
「まあ、いいんだけどさ。俺も配信者な訳ですし。家から出なくても活動できちゃうもんね」
そう、かくいう俺も配信者であった。
彼女との違いは顔も出してないただのゲーム配信者ってこと。
登録者数はこの前1000人を超えたところだ。いや、1000人って凄いから。
『俺には1000人のファンがいる』って言える人はめっちゃかっこいいと俺は思う。
「こんなネットばかり見てると鬱になっちゃう!ゲーム配信しよっと。」
そうして俺はPCを起動する。
流行のVTuber?ってやつでは無いのでキャラみたいなのはいない。
ゲームの画面を見せながら雑談するだけだが、毎回見に来てくれる固定のファンもいたりして案外たのしいもんだ。
「多分ネットの俺がばれることも無いだろうし、ここだけは平穏な生活させてくれ...」
彼女にもこの事は伝えていない。
これだけは秘密にしたまま恋人を続けていこうと思っている。同居とかするってなったら配信もやめるつもりだ。
「さーて、本日も配信やっていきますよ!」
そうして俺は今日の活動を始めるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます