第7話 真っ黒な彼女の過去 (※ 澪夜 視点)
私の名前は鬼龍院 澪夜、
改め、常磐 澪夜といいます。
今回は私の幼少期の時の話を
しようと思います。
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私は鬼龍院家の三女として、
産まれました。
鬼龍院家は大財閥の家系、
家族は皆優秀で、待遇されてきました。
……私を除いて。
鬼龍院家で私は居ないものとして
扱われました。産まれてすぐの時から、
理由?
それは━━━━
〔 な、なんなのこの痣の様なものは、、 〕
{ わ、分かりません、、
恐らくですが、生まれつきのものかと……。 }
〔 き、気味が悪いわ……。 〕
そう、私の背中には
痣だけど、何処か模様を描いているような
そんな痣っぽいものが生まれつき
あったからです。
お母様は、これを災いや呪いだと、
時代遅れな見解を示し、私を迫害しました。
でも、私はまだ生まれたばかり、
死なせては世間にバレると考えたのでしょう。
周りにはメイド一人だけを付け、
それ以外の人との接触は
決して許されませんでした。
『 …………、きれい…。 』
ずっと部屋の中に居た私の小さな楽しみは、
窓の外にある、季節の移り変わりを
見ることでした。
春には花の新芽が顔を出し、桜が舞い散る。
夏には新緑の葉が夏風で揺れ、太陽が照り指す。
秋には紅葉が木々を彩り、落ち葉が音をたてる。
冬にはメジロが歌い、しんしんと雪が降る。
そんな色々な姿に変わる、
自然を眺めるのが大好きだった。
でも、その小さな幸せすらも
長くは続きませんでした。
⟬ お嬢様、奥様がお呼びです。 ⟭
『 ……え? おかあさまが……? 』
私は迫害されてから、
お母様に呼ばれる事なんて一度も無かったから
驚いてしまいました。
そして、大広間へ行くと、
お母様は私の家族ではない人と
何やら話をしていました。
〚 ……では、引き渡しという事で
いいのですか? 〛
〔 はい、あんな汚らわしい者など……。 〕
『 ……おかあさま? 』
〚 こんにちは、今から君は僕と来てもらうが
いいかい? 〛
『 え? な、なんで? 』
そうして、ついに私は鬼龍院家から追い出され、
別の施設に引き渡されました。
そこで、私は20年近く過ごしました。
まさにそこは生き地獄、
全て、職員の人の言う通りにしなければならない、そして、私達の意見は何一つ聞いてもらえない、そんな酷い場所でした。
掃除や、洗濯などの家事はここで全て覚えました。もちろん料理なども。
( ……私は何の為に産まれて来たんだろう……。)
そして、24歳を迎えて3ヶ月が経ったある日、
私はまた違う場所へ送られました。
そこは、前の施設よりも、もっともっと酷い場所でした。私はまず、足に重りがついていて、ある程度の長さがある鎖を繋がれました。
そして2時間ごとに確認する人が来るだけ、窓もなく、電気もない真っ暗な部屋に入れられました。その空間には1年以上いました。
( ……死にたい、死にたい、死にたい……。)
いつもそんなことをを考えて生きていました。
そして、25歳になって4ヶ月が過ぎたある日、
私はまたどこかへ連れて行かれました。
( ……またどこかへ連れていかれる……。
嫌だ、もう死にたい……。 )
私がそんなことを考えていると、
連れてこられたのはある家でした。
そこには【常磐】と書かれた表札があり、
私はその家の前に放置されました。
( え? ここは?
とりあえず、入ればいいのかな……。 )
そして、ちょうど窓が空いていたので、
中に入りました。
その部屋はとても汚れていました。
私は1番最初に居た施設で、家事などを沢山していたので、部屋を隅から隅まで掃除しました。
( ……終わった。
これで綺麗になったかな……。 )
綺麗になった部屋を眺めていると、玄関から扉の開く音がしました。私は誰かが帰って来たのかと思い、玄関へ向かいました。
そして。
『 おかえりなさい。 』
「 ……っ、え!? だ、誰!? 」
『 ……誰って、鬼龍院 澪夜ですが。 』
そう言いました。
これが、
全ての始まり。
そうです、
私にも、
愛が足りていないんです。
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