第6話 妻と会社の優先順位

俺は脳内でパニックを起こしている。

理由はもちろん、目の前にいる、

妻のせいだ。


ワインを一瓶全部飲んだからか

すごーく酔っ払ってしまい、


えと、まぁ、その

キスをせまられ、焦ってしまった、

訳なのだが……、


そんだけ、可愛いとか言ってたら余裕だろ。


って、思うかもしれないけど、

可愛いっていうから、キスできる

って訳じゃないんだ、




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




『 ……ちゅーしないの……? 』




「 ええっと……。 」




……困った、

したいのは山々なのだが、

恥ずかしくて出来る気がしない、


せめて、もう少し後が良い、

今は、何とか話題を逸らさないと……。


そう考え、俺は言葉を紡ぐ。




「 ……えっと、もう少し、

 時が経ったら良いんだけど……。 」




『 ……うん……、

分かった……。 』





少し寂しそうにしているが、

意外とあっさり了承してくれた。


助かった。

このままされてたら、明日、

会社に行けない、というか、

澪夜と顔を合わせる事も無理だった

かもしれなかった。




「 と、とりあえず、

夜も遅いからもう寝よう。 」




『 ……一緒に……? 』




……勘弁してくれ、

それも、もうちょい後が良い、


ほんと酔っ払っらうと、

積極的になるな……。




「 べ、別々だよ! 」




『 ……えー。 』




澪夜は渋々、俺が与えた部屋に

入って行った。


その後、俺は風呂に入った……のだが、、

そこで眠りそうになったので、

直ぐに上がった。




「 はぁ……、

もう、酒は飲ませられないわ……。 」




俺はベッドに横たわって言う、

俺も久しぶりの業務の疲れで眠いのだろう。

直ぐに瞼が重くなって来た。


……明日も仕事だ、

そーだ、明日、商談じゃねーかよ、、

行きたくないな……。


そこで、俺の意識は途切れた。

多分眠ったのだろう。




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「 ……っ!? 」




そして、俺が目を覚ましたら、

もう朝日が登っていた。

時刻を見ると7:30……、、




「 ……ん?

……7:30……!?」




7:30は俺がいつも家を出ている時刻だ、


……やばい、昨日も晩飯食べてないから

腹減ってる、でも食べる時間はないし……。


俺は商談が最優先と判断し、

必要なものをカバンに詰め、会社へ急いだ。


まぁ、5分遅く出ただけだから、

問題は無いだろう。




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「 はぁ……、

間に合ったぁ……。 」




俺は社長室の椅子に座って言う。


商談は9:00からだから、まだ時間はある。

ま、秘書が言いに来るし、

寝てても大丈夫なんだけど……、


はは、今朝はいそいだから、

もう眠くねーわ。


……それより、

澪夜大丈夫かな、多分俺が家を出た時は

寝てたんだろうけど……。


そんなことを考えていると、

突然、プライベート用のスマホが鳴った。




「 うぉ、げっ、

澪夜……。」




澪夜からだった。

ほんとなんてタイミングだよ……。




「 は、はい……。」




『 ……純星さん……、

何で黙って行ったんですか。』




俺が恐る恐る通話に出ると、

やはり、思った通りの質問が来た。

少し、機嫌が悪そうだった。




「 か、会社に行くためだよ。 」




『 ……また かいしゃ というやつですか。』




「 そ、そうだよ。 」




『 ……帰ってきたら、お話があります、

では……。』




そこで澪夜との通話は切れた。


……いや、怖い怖い。

とにかくとても怖い。

何を言われるのかはこればかりは予想できない。

……少し、帰りたくなくなったよ。


いや、帰らないと、

また怒るんだけどな……。


と色々と考えていると、



コンコン



と、ドアをノックされた。




「 ん、入って。 」




[ 失礼します! ]




「 あぁ、君か、おはよう。 」




[ おはようございます! 社長! ]




入ってきたのは、俺の秘書をしている、


阪宮 龍騎 (さかみや りゅうき)


だった。

彼は身長が187cmで筋肉ムキムキな

見た目なので、秘書というより、

ボディガード的な存在でもあるのだが、

仕事をきっちりとこなす、

我が 常磐財閥 の優秀な社員の一人だ。


阪宮は俺の親父の秘書兼ボディガードも

していたから、社長未経験の俺のサポートをしてくれてめちゃくちゃ助かるんだよな。


そして、ちょい失礼だが、こんな見た目でも

めちゃくちゃ優しい、特に子供と女性にはな。

声も大きいし、俺よりよっぽど社長に向いていると俺は思うんだがな……。




[ 社長、どうかしましたか? ]




「 あぁ、いや、考え事をしてただけだよ。

で? 要件は? 」




[ もうすぐ商談が始まります。

なので、お呼びしようと。]




時計を見ると、8:30になろうとしていた。

もうこんなに時間が経っていたのか。

気が付かなかった。




「 分かった、直ぐ向かうよ。 」




俺は直ぐに立ち上がり、

必要な資料などを持ち、会議室へと

向かう。




━━━━━━━━━━━━━━━




「 ……はぁ……、

終わったぁぁ……。 」




[ 社長、お疲れ様です! ]




と言って、お茶を出してくれる、

阪宮、なんて気が利くんだろうか。




「 ……ありがとう、

頂くよ。 」




そして、俺はお茶をすする。


……美味いっ!

やっぱり、水よりお茶の方が元気が出る気がするよ、もちろん熱いお茶がね。


って、俺、

今日の最大のイベントが残ってるだろ、

そう、澪夜からのお話だ……。







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