第2話 既に家に居た女。

ネットで500億円を払った次の日、

俺はそわそわしながら、会社へ向かった。


当然、仕事にはぜんっぜん集中できなかった。

まぁ、余り俺がやる事はないのだが、

それでも、今日一日、上の空だった。


午後5時、

今日は日曜日だから、

早めに退社してきた。

まぁ、今日届くものを見る為でもあるが、




「 ……ただいま。 」




『 おかえりなさい。 』




「 ……っ、え!? 」




俺は玄関で尻もちをついてしまった、

なんせ、誰も居ないはずの家から返事が返ってきたからだ。

そして、変な声も出てしまった、

それにも少し驚いたが……。




「 ……って、だ、誰?! 」




部屋のリビングから、玄関へ人が歩いてくる、

影で何となく女なのは分かったが、

どうして、人が俺の家に居るのか、


しかも女だから、

より一層警戒してしまう。




『 ……誰って、鬼龍院 澪夜ですが。 』




「 ……は? 」





俺は素っ頓狂な声を出してしまう。

それほど驚いたって事だ。




『……昨夜、私を買ってくださったと言われたのですが、間違いでしたか?

それでしたら、今からでも帰りますが……』




「あ、え、だ、大丈夫大丈夫!

間違ってないない!!」




いやいや!

流石に家の中にいるとは思わないだろ、

せめて、ドアから来るのかと思っていたけど、


それよりも!

本当に来るとは思っていなかった……。




「 ……と、とりあえず!長旅……?

だったと思うから、風呂入ってきて!」




『 ……はい。 』




そう言うと、女はここで、服を脱ぎ始めた、

嘘だろ!?

いやいや!

普通洗面所とか言って脱ぐだろぉ!!


しかも、盛んな20代の前だぞ!?

誘ってんのか!?




「 ちょ、待ってぇ!?!? 」




『 ……え? 』




女は素っ頓狂な声を出す、

そして、俺は急いで、タオルを渡し、

リビングから出た。


ドアの前で止まり、

俺はブツブツと色んなことを言う。



(……普通、男の前で着替えるか!?

しかも、まだ童〇の前だぞ!?

それより、嫁になってくれるかどうか

とても心配だよ……。

勝手になると思って買った訳だが、、)



そう、まだ嫁になると決まった訳では無い、

俺もまだ、あの女に言い出してすらいない。


せめて、言い出さないと、

そうだ、風呂から上がったら、

とりあえず言ってみよう。


まぁ、嫌と言われても、

買ったのは俺なのだから、

嫁にはしなくとも、メイド的な感じには

なってくれるだろう。



ガチャッ、



風呂のドアが開く音がした。

また、裸体を晒される様な事になったら

とても不味い状況になる。


それを避ける為にも、

俺は一旦、自分の部屋に戻る。


彼女の着替え?


心配することは無い、

俺は準備周到な性格だから、

ソファの上に、貴婦人用の着替えを置き、


〝これを着てください〟


と服の上に付箋までつけたのだ。

これで、あの女の裸体を見ずに済むことだろう。

着替えは結構高いものを買ったから、

気に入ってくれると助かるのだが、


そんな事を考えていると、

彼女が風呂から上がって、

5分近くが経っていた。




「 ……流石に着替え終わった……よな……? 」




そうして俺は自分の部屋を出て、

リビングに向かう。



ガチャッ、



俺はリビングへの扉を開け、

中に入る、まぁ、服は着てなかったとしても、

下着ぐらいは身に付けているだろう。


そんな事を考えて俺はリビングに、

足を踏み入れる。







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