白い影

 私が中学生の頃です。

この頃には二階の一室を当てがわれ、月に数回は金縛りにあう私の為に父が部屋の四隅に盛り塩をしてありました。


盛り塩が有って怖いから嫌だ、と友達が家に遊びに来てくれなかったのも懐かし思い出です。


 私の住む家はとても古く、照明などは必要最低限しか付いておりませんてした。玄関を除けば、各部屋に一つ照明が有るだけの夜はとても暗い家でした。


特に廊下は暗く、雨戸を閉め、部屋の照明もついていないと外よりも暗かったのではないでしょうか。

闇が濃い。

という表現が一番適当だと思います。


 また昔ながらの家というのは生活動線を意識した作りにはなっていないので、トイレは一番北側に配置されており、二階へ上がる階段の影になる廊下の先に有りました。雨戸を閉めると夜は一番暗くなるのがこのトイレ前の廊下でした。


何だか不気味で出来れば行きたくない場所という認識でした。


しかしそうもいきません。この日も夜十一時頃トイレに行きたくなり自室を出ました。

廊下も階段も照明が有りませんので、ほとんど普段の感を頼りに歩を進めます。

ゆっくりと壁伝いに階段を降り、百八十度回転して廊下の突き当りのトイレへ向かいます。


少しゆっくり数歩数歩と進みます。何か違和感があったのですがそれを処理するにはあまりに暗すぎて情報が足りませんでした。

また数歩廊下を進み、廊下の半分ほど来たところで私は悲鳴を上げました。


踵を返して姉の居る部屋へと一目散に駆け込みました。

驚く姉に私は説明しました。


白い子供が居た。


トイレへと続く廊下を進んだ私の目の前に、私の胸ほどの背丈の子供が居たのです。

あたりが暗すぎてぶつかる寸前まで気が付かなったのですが、目の前には真っ白な顔をした子供がぬっと立っていたのです。


ちょうど一時期流行ったホラー映画の男の子をイメージして頂ければ近いものが有ると思います。

あそこまでいかにもな見た目ではありませんでしたが。


薄々感じていた違和感と合わせて整理しました。

あの子供は廊下の突き当りから私に向かって歩いて来ていたのです。

しかし暗くて気付くことも無く、私も歩いて子供に向かって近寄って行っていたのです。

そして認識できる距離になってようやく違和感の正体と邂逅しました。

響く私の悲鳴。


もうトイレところではありませでし。


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