第4話 思わせぶりな彼女「何でも言うこと聞くよ?」
「ねぇ、廉。私と勝負しない?」
「……何を? というか、今、テスト勉強中だろ。勉強に集中しろ」
定期考査まであと3日となった休日、日曜日に最後の追い込みとして、なぜか僕の家で勉強をしている。
***
「れ〜ん〜助けて〜」
「急にどうしたんだよ、佳由」
「これ! 見て!」
目の前にバッと紙が出される。
「これは…ひどいな…」
佳由に見せられた紙には27点の文字が…
「これって最近の数学の小テストだよな。それにしても27点って…」
「そう! だからなの! もうすぐ定期考査もあるし…」
佳由は可愛くて性格も良くて、誰からも好かれるのだが、1つ弱点があるのだ。それが勉強なのである。特に数学が…
「それで…助けて欲しいってことは?」
「私に勉強を教えて欲しいの!」
「……勉強教えるのはいいんだけど、どこでやるの? 学校の図書室とか?」
「私の家…でもいい?」
わ、私の家って…佳由の家? 佳由の家に俺が入ってもいいのか? そういうのは犯罪とかじゃないのか? 大丈夫なのか?
悩みに悩んだ結果、こうなった。
「さ、流石に佳由の家はまずいから、俺の家じゃダメ?」
***
そんな事を言ってしまったが、これ…俺の家の方がアウトなんじゃないのか?
誰もが目を奪われるような美少女と部屋に2人きり、僕は普通の男子高校生なので、もちろん、メチャクチャ緊張している。
それにしても、どうして佳由は俺の家って言って、了承したのだろうか…
「それで? 何を勝負するの?」
「廉は何もしなくていいんだけど。私が次の数学の定期考査で平気点を超えられたら、廉がなんでも私がいうこと聞いて」
「俺が? なんでも? それって、俺だけが損してない?」
「もちろん、廉だけが損はしないよ。もし、私が数学の平均点を越えられなかったら、私がなんでも言うこと聞くよ?」
「なんでも? それって…なんでも?」
「うん、なんでも。どんなお願いでも聞くよ?」
「1ついい? 前回の定期考査の数学の点数は?」
「赤点ギリギリ、35点!」
「35点か…別に俺に損はないし、その勝負乗ってあげるよ」
「よし、じゃあ頑張って、廉に言うこと聞いてもらおうかな〜」
その後も部屋で一緒に勉強したが、特に何か起こることはなかった。
***
そして、数学のテストが返された放課後、教室で結果を報告することになった。
「それで結果は…?」
「………58点だった!」
今回の数学の定期考査の平均点は56点なので平均点を超えたことになる。
「……マジか」
「マジマジ、マジもんのマジだよ!」
前回が35点だったので23点も上がったことになる。凄い成長だ。
「しょうがない…じゃあ、何でも言う事を聞くよ」
特に何かを言われても困ることはないので、何かの奢りかなぁ?とでも思っていたのだが、
「じゃあ、私と…付き合ってくれない?」
「は? え? 本気?」
想定外のお願いだったので、驚いて僕は固まってしまった。
「お、お〜い、廉〜?」
「ん? ごめん、何だっけ?」
「だ〜か〜ら〜、私と付き合ってよ」
「………お願いだから、仕方がない、分かっ…」
「ねぇ、実物見なくて大丈夫なの?」
「えっ? 実物?」
突然、実物と言われ、何の実物なのかが分からなかった。
「口だけで信用して大丈夫なの? テスト用紙見なくても大丈夫?」
「そこまで言うなら…見るよ…」
まぁ、嘘をついている可能性もなくはないなと思い。
佳由から数学のテスト用紙を渡してもらい、点数を見ると…
「45点…」
「残念、私のお願いは聞いてもらえないね」
「……何で、バラしたんだ? 隠して嘘ついてたら、その…お願いは…聞いたのに…」
「だって、廉の反応が見たかったから、廉の可愛い反応を」
また思わせぶりな態度を取られたのか…
「ほら、私の負けだから、何でも言う事を聞くよ?」
ここで、付き合ってくださいって言えたら、どんなに楽なのだろうか。
こういう奴だから、佳由も思わせぶりな態度を取るのだろうか。
まだまだ、思わせぶりな態度を取られ続けそうだ。
「廉、私と付き合うでも良いよ、だって、何でも何だから」
思わせぶりな彼女は全然振り向いてくれません マキマキ(更新停止中) @makimaki0318
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