第6話 少女との同居生活

 アイラが俺の家で生活始めてから、数日後、2人が互いに気兼ね無く快適に過ごす為、いくつかのルールを決めた。


一、食事は一緒に摂る事。

二、お風呂は必ず俺が先に入る事。

三、家の仕事はアイラがする事。

四、生活で必要な物は、必ず相談する事。


 今のところ、これがとりあえずのルールである。お風呂に関しては、アイラがどうしても譲らなかった。


(別に何もし無いし、アイラが先に入る事だって悪くないんだけどな。やっぱり、あの時の事が尾を引いているのか…)


 あの時のことは、俺的に結構ダメージがあった。人と関わら無い様にした結果。まさか、自分がここまで他者との距離感が壊滅的に図れなくなっていたとは思わなかった。街で用事を済ませる時も、最低限の会話のみでそこまで気にならなかったのが理由の一つ。


(これからどう接したら良いか…)


 アイラの後ろ姿を見つめながら頭を抱える俺。当のアイラは、ゴミを片付けたり、床を磨いたりしている。ただ、まだ体力が回復した訳では無いので、ゆっくり休みながらだが。

「何か手伝う事あるか?」

「…いえ、大丈夫です」

 アイラは俺を一瞥し、背を向けて床を拭いていく。俺は溜息を一つ。


(それにしても、綺麗な髪だな)


 お風呂に入り、身体を綺麗に洗ったおかげで、本来の肌と髪の色が分かる。透き通る様な白い肌。栗色の髪は腰まで伸び、出逢った当時は、力無く垂れていたケモ耳は、尖端までピンと立っている。服は、俺が最初に渡したフード付きのロングローブを着ていた。俺より頭2つ程低いアイラ。男用のローブは、アイラの全身を隠し、まるでてるてる坊主みたいだ。そのローブをアイラは俺の前でも脱ぐことは無い。少し暑くなったのか、アイラが髪を結ぶ。首には奴隷の証であるチョーカーが俺の目に入った。

「それ外したいな」

 ボソリと呟いた言葉。アイラの耳が『ピクッ』と動く。

「…主人様、今何とおっしゃいました?」

 振り向くアイラ。その目は困惑が見て取れる。無言の俺に、アイラは勢いよく立ち上がり、俺の目の前に立つ。大きな瞳が俺を捉えた。


(綺麗な瞳だ。目鼻立ちもハッキリしていて、綺麗だ)


 アイラに見惚れる俺。アイラの唇が震え動く。

「私は不要…ですか?」

 今にも泣きそうな、そんな表情をアイラが見せた。我に帰り俺は慌てる。

「いや、違う!違う!そうじゃ無くて」

 アイラの首にあるチョーカーに触れた。

「コレ、要らなく無いか?って意味だ」

「…コレは私が主人様の奴隷という証明で…」

 言い掛けたアイラの唇を、俺は人差し指で塞いだ。何故か頬を真っ赤に染めるアイラ。

「俺は、アイラが必要だからここに連れて来たんだ。決して奴隷だからって訳じゃ無い」


(一目惚れしたからだなんて言え無いし……恥ず)


 心の中で悶絶する。一方でアイラの顔は熟れたトマトのようだ。心なしか、頭から蒸気も見えそうで、身体は硬直し小刻みに揺れている。

「…?」

 意味が分からず、俺は首を傾げる。アイラの呼吸が次第に荒くなり、ケモ耳もピクッピクッと痙攣し始めた。

「何処か具合が悪いのか?」

「……」

 俺の問いに無言のアイラ。潤んだ瞳で何かを堪えている。

「本当にどうした⁈」

 俺の思考はパニック状態。オロオロと慌ててしまう。

「…何でもありません!」

 アイラは首を激しく横に振った。そして、これ以上聞かれたく無いのか、再び床の掃除を始める。それを見て、俺は放心状態で見つめるしかなかった。





あとがき


 ストック一つ書く毎に、1話アップしていける様にしたいなぁ…。

 とりあえず、今はなぜかモチベーションが高いので、書ける時に書いてますけど…

 社畜なんで、しかも追い込むタイプなんで…

いやいや、自爆するかも〜

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