森の中の自由生活
第3話 少女との出逢いは突然に
いきなりだが、5歳で両親から家を追い出された俺は、とある森に住み着いた。この森はかなりの凶悪な魔物が棲んでいる『死の樹海』と呼ばれていて、人は立ち入らない。俺がどうしてこんな物騒な森に住居を構えたかというと。大した理由はない。ただ人と関わらず、のんびりと生活がしたいだけだった。
しかし、この森に5歳の時から住み着いてもう16年くらい。俺は前世のやり残した事を思い出していた。そう、それは素敵な出逢いである。
(…たまには街に出逢いでも求めてみるか、次いでに買い物でもしよう)
探索用の衣服を身に纏う。俺の服はこの一着しか無いので、必然的にいつもの格好にはなる。
(…そろそろ別の服も買うべきかな)
必要な物をリストアップし、家を出る。街までの距離は、徒歩半日程。森の奥に拠点を置いているのだから致し方ない。道すがらたまに野獣と遭遇するが、俺を顔を見るや否や一目散に逃げて行く。この『死の樹海』の魔物や野獣は高ランク。普通の人間どころか、Bランク以上の冒険者でも安易に倒せない。しかし、俺はこの森に住み着いてから、苦戦せず簡単に倒せていた。その理由は、そのうち説明するとして、彼らにとって、俺は逃げ出したくなる『脅威』と認識されていた。
太陽がちょうど真上に上がった頃。俺は街に到着した。街は活気に満ちている。今日はいつもより賑やかだった。
「…そっかぁ、バーゲン祭りだった」
この街は週に一度、各地方から色んな物を売り買い出来るようにしている。売られている物は多岐にわたり、それらを求めて人が押し寄せていた。今回、欲しい物が一度で揃うだろう。
(買い物が一回で済むのは助かる。あんまり人に関わりたく無いしな)
とりあえず目的の物を次々と物色する俺。出店が多いので、短時間でリストアップしていた物は揃った。
(さて、帰りますか)
家に帰ろうともと来た道に向かう途中。何気なくある一角に視線を向ける。そこは奴隷商の店だった。種族も性別も、年齢もバラバラな奴隷が鎖に繋がれ道端に座り込んでいる。
(…異世界なんだなぁ。何度見てもこの光景は見慣れ無いな)
前世ではあり得ない光景を目の当たりにし、ここが異世界であると改めて認識する。ふと、その奴隷の集団から隔離されるように狭い囲いに入れられ横たわる少女を見た。その少女の虚な瞳が俺を捉える。その瞬間、俺の中で何かが弾け、一瞬だがまるで俺の周囲の空気が変わった様な感覚。
(これが一目惚れってやつなのか?)
五月蝿いくらい高鳴る心臓に、俺はただ少女を見つめた。
あとがき
ストックと呼べる程書き溜めていない上、リアルの仕事が鬼忙しく、ブラック企業で社畜な自分。投稿率は限り無く低いので、ある程度アップするまで読まない事を推奨します。
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