良き、少なき理解者達と

第20話 報告が遅れて悪い

『ほら、2人共! こっちに来てくれ!』

『……蓮燔。久々にお前に会えて俺達も嬉しい。でもな、蓮燔。奏は……。』

『蓮燔、俺達と話をしよう。無理はしなくて良いんだ。』


 日付も変わり、朝食を摂った後。約束通り蓮燔は俺と蓮燔にとって共通の友人で、かつかなり仲の良い友人を呼んでくれたらしい。

 ただ扉から聴こえる声から得られる情報から推理すると、彼らにとって俺がまだ目覚めても居ないのに蓮燔の気がとうとう狂ってしまったような感覚に襲われているのだろう。だから、何とか暴走する蓮燔を止めようとしている。

 でも実際の話、俺はこうして目覚めている。それも3日前に。

 そんな事も知らず、リビングにまで連れてこられた2名の友人は最初こそ同様した様子であれど、今は蓮燔を宥める方にシフトしたらしい。


 まるで精神患者のような扱いだな。


『れ、蓮燔。ちょっと話を』

『待て、愁翔しゅうと。……付き合おう。元はと言えば、こんな状態になるまで放置した俺達が悪いんだ。だから傷付けるな。』

『……分かった。蓮燔、どうしてほしい?』

『そこで待っててくれ! 今、今奏呼んでくるから!』

『れ、蓮燔……。』

『あぁ、分かった。俺達にも会わせてくれ、奏に。……挨拶しないとな。』


 俺の事は死人扱い、か。


 コンコンコンッ、と扉を叩かれたのを合図にそっと扉を開く。

 リビングには赤目赤髪で、身長も高ければ体格もかなり良い男。そしてもう1人、群青髪に碧い瞳。こっちも高身長だがかなり華奢な男が居る。

 その両方が此方を見て目を見開き、意外にも体格の良い赤髪の方がはらはらと涙を流し、そのまま抱き着いてくる。その隣に居た群青髪の男も少しばかり時間を置いてから傍にやってきて、そっと手を伸ばしてくるのでそっと手を繋ぎ返した。

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