第17話 響き渡る声は鋭く
―――。―――? ―――!
声がする、何処か懐かしい声。柔らかくて、まるで再会を喚起するような悦に浸った幸せそうな呼び声。
それはまるで俺に纏わり憑くようにくっ付いており、その声を聴けば聞く程に頭がぼんやりとしてくるような感覚ですらもある。
聞き取れないはずなのにそれが俺を呼んでいるという謎の確信があり、どんどん自分という自我が薄れていくのを感じる。
誰、だ……? 誰が……誰が、俺を呼んで……。
「……?」
「きゃう。」
「レイ……? 俺が休んでる間……誰か、来たか?」
「うーう。」
「そう、か。……え?」
俺の首から下げられたネックレス。今日、昼時に飂鵺さんの魔道具屋で買ったあのネックレスが昼間とは違った反応を示している。
蒼く綺麗に光り、どうやら俺から溢れる余分な魔力を吸っている。その魔力のお陰か、それともその魔力に反応しているのか、キラキラと綺麗だが何処か優しくて落ち着いた雰囲気を醸し出しており、レイがそれに興味を持っている。
何ならこの部屋全体に無数の魔法陣のような物が展開されており、見た事のない文字で書かれているはずなのに何故か簡単に読めてしまう。
でも、それはそう長くは続かなかった。
突然の眩暈と共にふらり、と倒れればレイが慌てながらも支えてくれるも意識は回復しない。
多少の頭痛を孕みながらも意識が段々と薄れていく中で、レイの慌てた鳴き声を聞いて蓮燔が慌てた様子で入ってきたような気がした。
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